日常を綴ったエッセイ、童話風な掌編、俳句の世界など、非常にバリエーションに富んだお話が集まった作品です。
柔らかく、ユーモアを欠かさない口調ですが、そこには一本筋の通った凛とした姿勢が貫かれています。
小さなものに対する愛情。大きなものに対するピリリと辛い皮肉。どんなに短いお話にも感じる、物事の本質をひたと見つめる視線。
そして自分の考えをはっきりと言葉にする大切さも考えさせられます。
なんでも無難に語ろうとする世の中で自分のポリシーを貫く潔さは、簡単に真似できることではないでしょう。本書はそういう部分でも非常に読み応えがあります。
大らかさと厳しさが混ざり合う、知識と経験を積んだ方ならではの文章です。ぜひお読みください。