第5話風の歌


クロハ:仮面を取れって言ってんだろ!!


ハヅキ:おっとー!?2対1かと思ったら1対2?やっぱ君は風切の人間だったんじゃないの?


クロハ:黙れ!!


ランギク:性格悪いわね。どういうつもりかしら?


ランギク:もういいんじゃない?あんただって最高幹部でしょ?ハヅキちゃん


クロハ:え?


ハヅキ:まあ仕方ないよね。クロハさんがいつまでもトロトロしてるから意地悪しちゃったよ


0:ハヅキは仮面を外す


ランギク:ねえ、クロハちゃん。あたしがボスから言われた事、教えてあげるわね。


ランギク:あのガキはまだ能力は解放されてないの?ってさ


クロハ:………お前は


ハヅキ:ほんとに。5年も経ってるのにまだ解放されないなんて、不思議でしょうがない


ハヅキ:おまけに月の結晶もまだひとつも見つけられてないんでしょ?


ハヅキ:しっかりしてよくれよ。僕の弟なんだよ?君は


クロハ:………兄貴


ハヅキ:そんなに髪を伸ばして風切の印(いん)でも隠してるの?


クロハ:当たり前だろ。シラウにバレたら任務は終わる


ハヅキ:任務だなんだって言うけど、僕はもうとっくに終わらせてるよ?


ハヅキ:僕は一つ、月の結晶を持っている


クロハ:それはどこから?


ハヅキ:………ふふっ。カナメさんのお父さんが持ってたんだ


クロハ:あいつの?父親が?


ハヅキ:はい。カナメさんの故郷。ハクトミヤコでね。


ハヅキ:任務完了して5年が経って暇してるんだよ


ハヅキ:クロハはシラウ君の能力解放待ちなんでしょ?


クロハ:………ああ、そんなところだ


ハヅキ:自然の歌が聞こえるってレアにも程がある


ハヅキ:なんでシラウ君のお父さん殺したの?


クロハ:ち、違う!俺は殺してない!


ハヅキ:じゃあなんで……死んだの?


クロハ:……それは


シラウ:兄貴ー!!


クロハ:シ、シラウ!?




カナメ:クロハ!離れて!


カナメ:千鳥!(ちどり)


ランギク:狙いはあたしよね?


ハヅキ:……ふふっ。僕に任せてよ


カナメ:ハヅキの仮面が取れている?


ハヅキ:ぎゃあああ助けてぇぇー!!


カナメ:あなたは強いでしょう?


ハヅキ:この人強すぎて勝てないよー!


カナメ:は、離れなさい!


ハヅキ:離れたら、僕はあのナイフに殺されるんだー!!


ハヅキ:………とか言ってね


ハヅキ:乱風貌(らんふうぼう)


0:ハヅキはカナメに抱きつき爆風で自らも飛ぶ


カナメ:……くっ!何を!


ハヅキ:僕と空の散歩しようよ


シラウ:師匠!


カナメ:シラウ!クロハと逃げてください!


シラウ:うん!兄貴!行こう


クロハ:………おう


ランギク:あらー?あのガキと一緒に逃げるのー?


ランギク:そうはさせないわよ?


ランギク:霧斬舞!(きりきりまい)


シラウ:くぅ!


ランギク:ここであんたを逃すわけにはいかない


シラウ:なんで、オイラを狙うっすか!


ランギク:ねぇ!あの木の声とか聞こえるの?


シラウ:声?声なんて聞こえないっす。歌なら聞こえてくるっす


ランギク:歌?


クロハ:それ以上は何も言うな。シラウ


ランギク:あんたが何止めてんのよ。


ランギク:5年も歳月が流れてまだ任務完了しないなんて、最高幹部失格よ


シラウ:………あ、兄貴?どういうこと?


クロハ:………


ランギク:そうよね、でももうボスから命令されてるから言うわよ


ランギク:あんたが兄貴って慕ってるこの男は


ランギク:風切の最高幹部なのよ!


シラウ:………兄貴が?


クロハ:………っ!


0:クロハはシラウのみぞおちを殴る


シラウ:うっ!兄貴。……どうして


クロハ:俺は……お前を探していたんだ


シラウ:………オイラを?


クロハ:お前のその、自然の歌が聞こえる能力はやがて解放されると月の結晶の歌も聞こえてくるんだ


クロハ:お前の父親、シロガネもその能力を持っている


シラウ:……じゃあ、オイラの父ちゃんを殺したのは…


クロハ:俺では無い!


シラウ:……へへっ、そうっすよね。兄貴がそんなことするわけない


ランギク:なにいつまでも兄弟ごっこしてんのよ。この男はあんたを裏切ったのよ?


ランギク:兄貴はそんなことするわけが無いとか、そんな人間じゃないって?


ランギク:反吐が出るわ。気持ち悪い。家族でもない人間と馴れ合いして楽しい?


シラウ:君は兄貴のこと知らないんすよ


ランギク:はあ?


シラウ:兄貴は、お金のないオイラのために働いてくれた。ご飯だってオイラの分を多くくれた


シラウ:心の優しい兄貴をオイラはずっと見てきたっす。


シラウ:オイラを裏切ったとしても兄貴は兄貴っす。オイラは目に見えたものだけが真実だと思う


クロハ:……シラウ


ランギク:バカね!真実は黒幕だったってのに!あんたはいずれこいつに殺されるのよ


シラウ:兄貴に殺されるなら!オイラはそれで!!


シラウ:……へへっ。本望っす


クロハ:……くっ!


ランギク:黄泉斬!(よみきり)


シラウ:さよなら。師匠。兄貴


クロハ:葉裂風!(はれつふう)


ランギク:うっ!!


0:クロハの放った葉はランギクの脇腹に刺さる


ランギク:あんた?正気?


:6話に続く

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