第3話謎の歌


ハヅキ:あ、怖がらないでいいよ、安心して


ハヅキ:僕は君たちの味方だから


クロハ:……この声


シラウ:誰っすか!なんの用っすか!


ハヅキ:僕はハヅキ。風の使い手さ


カナメ:……風?


ハヅキ:ははっ!風って言葉に敏感にならないでよ、カナメさん


カナメ:……なぜ私の名前を?


ハヅキ:僕はね、風の音を通して人の会話を自由に聞くことが出来るんだ


ハヅキ:カナメさん。君は随分悪さをしてきてるみたいだね


カナメ:…………


ハヅキ:あ、大丈夫だよ。悪さしてるからと言って僕がどうこうするわけじゃないから


ハヅキ:君たち、月の結晶を探してるんでしょ?


シラウ:そうっすよ!月の結晶でオイラの父ちゃんを生き返らせるっす!


ハヅキ:手がかりもないのに?


シラウ:そ、それは


カナメ:あなたは何者なんですか?


ハヅキ:んー僕はー。そうだなー。


ハヅキ:占い師。とでも言おうかな?


カナメ:面白そうですね。じゃあ私の……


ハヅキ:私の事を占ってくれって?


カナメ:………?


ハヅキ:ん?どうかしたのかな?


カナメ:………あなた、奇妙ですよ?


ハヅキ:よく言われるよ。でも大丈夫、僕は君たちの味方さ!


ハヅキ:さあさあ!こんなところじゃなんだし場所を変えて話そうか


ハヅキ:月の結晶の話をね




ハヅキ:ほーら!風が気持ちいいね!


ハヅキ:この風の音からは沢山の声が聞こえるんだ


ハヅキ:君たちには聞こえる?


シラウ:聞こえないっすよ


ハヅキ:南南東にあるコアカリーという町に現れた男がその町を滅ぼそうとしている


ハヅキ:何のためだろうか……


シラウ:コアカリーはオイラの住んでた町っすよ!なんでそんなことに!?


カナメ:………なんだって?


クロハ:お前、なんのつもりだ!


ハヅキ:僕かい!?


クロハ:本当にシラウの故郷が誰かに襲われてるその保証は?


ハヅキ:君、随分とこの子に肩入れしてるんだね


クロハ:………


カナメ:シラウ、私と行きましょう


シラウ:師匠!?


カナメ:私のスピードなら5分で着きます。様子を見て、その方の信用を決めましょう


シラウ:えぇー!兄貴は?


クロハ:襲われたとしても俺なら大丈夫


ハヅキ:僕を信用してよ


カナメ:じゃあ、行こう


シラウ:うん


0:シラウはカナメの背中に乗って飛んでいく


クロハ:……お前、誰だ


ハヅキ:んー?わかんないかなー?


クロハ:………仮面を外せ


ハヅキ:どうして?もしかして、知り合いだと思ってるの?


クロハ:……ふざげんな


ハヅキ:なにか君に裏があるから僕が誰か気になるのかなー?


クロハ:ふざけんなって言ってんだろ!!


クロハ:灰枯(ハイカラ)!


ハヅキ:おいおい、こんなところでおっぱじめてもしょうがないだろ?


クロハ:お前の正体を暴くまでは引けねえだろ!


ハヅキ:シラウって子が居なくなってから急にどうしたの?


クロハ:白々しい!


ハヅキ:んまあ、君に僕を殺すことは出来ないけどね


ハヅキ:そろそろ出てきたらどうだい?


ランギク:あら?気付いてたの?


クロハ:……なっ!お前は




カナメ:シラウ、なるべく急ぐのですが一つ聞いて欲しいことがあります


シラウ:なんすか?


カナメ:故郷を滅ぼされても、復讐の念は持たないことです


シラウ:……どうして?


カナメ:人は物事を感情で左右されてしまう傾向があるんです


カナメ:だからこそ、こういう時こそ、自分の感情に左右されないでください


カナメ:月の結晶は必ず私が見つけ出しますから


シラウ:し、師匠?本当にオイラの故郷が誰かに……


カナメ:もしもの場合です。故郷を滅ぼされる気持ちなら私だって理解できます


シラウ:どうして?師匠の故郷は……無くなったっすか?


カナメ:……はい。風切のやつらの手によって私の故郷は滅ぼされました


シラウ:……風切って


カナメ:家や建物は焼かれて、農家は食い荒らされ、人は連れ去られ、抵抗するものは殺される。


カナメ:風切という組織はそういう組織なんです。そして


カナメ:月の結晶を探している


シラウ:月の結晶を?


カナメ:はい。月の結晶はこの世界に3つ。そのうちの1つが私の父が持っていたんです


シラウ:………ということは


カナメ:そう、5年前に父も町も、諸共滅ぼされました


シラウ:そ、そんな組織許せないっすよ!


カナメ:ほら、感情的にならないでください


シラウ:そんな!父ちゃんを殺されて感情的にならないなんて!師匠ひどいっすよ!冷酷にもほどがあるっす!


カナメ:感情的になるのは最初だけでいいんですよ。それに、シラウ、クロハがさっきの謎の人物に殺されない保証だってないんですよ?


シラウ:あ、兄貴なら大丈夫っすよ!


カナメ:そう信じましょう


カナメ:見えてきましたよ。コアカリーが


シラウ:………え?


:4話に続く

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