第7話 今もなお、支えになっている「あの言葉」。

去年(中二の時)よく話したKさんとは班が違っても普通に話すことが出来た。二年生の時同様スキンシップもあった。僕は交友関係が広くないから誰かと話すとしたら、班員と前からの友達か、Kさんくらいしか居ない。それでも十分に楽しいし、満足していた。前期は昼休みにすることがほとんど無かったので、自分の仕事を終わらせたらKさんの仕事を手伝った。たったそれだけの事なのに楽しくて仕方なかった。毎日の楽しみにさえなっていた。


(ほぼ毎日手伝っていたから、時々仕事を丸投げ……もとい任されることがあったけれどそれはそれとして。)


この時間が毎日の心の癒し。いじめのあった一、二年生では考えられない事だった。

気付けばKさんを中心として気軽に話せる女子が増えた。

いじめられていた時と比べるとこれはものすごい変化だと思う。

ふと、思った。邪魔ではなかったのだろうか? 変な奴だと思われていないか? やっぱり女子というのは分からない。

そうやって話せる女子が増えていって、卒業する頃には、クラスの女子の半分くらいの人と話せていた。これについては僕もよく分からない。


(本当にあれは現実だったのかな?)


流石にもういじめられたくなかったから、接し方には十分に気を付けた。この心がまた壊されるのを避けるために。


詳しい時期は覚えていないけれど、前期の事。

何気ない会話をKさんたちとしていたら……。

Kさんがふとこう言った。


「○○(オララオの苗字)、目の色、変わったね」


(……え?)


一瞬何を言われたのか理解できなかった。本当に何気ない一瞬の一言。


ねぇ?それはどういう意味で言ったの?

からかいの時の事?

それとも、壊されていた時の僕と比べて?


聞きたかったけれど聞けなかった。もし、自分の思っている事とは全く違う言葉が出てきたら…。そう思うと怖くて聞けなかった。


本人が結局あの言葉をどういう意味で言ったのかは分からず。

でも、その言葉が僕の心に深く、深く刺さった。嬉しかった。泣きそうにもなった。でも泣くのは我慢した。

この一言を言ってくれたのが、これを書いている時から約三年前。僕自身、記憶力は無い方だ。それでも三年前のあの言葉を今もはっきりと覚えている。それくらいの意味を持つ言葉だった。忘れたことは一日も無い。


それに。

その頃じゃないかな。心に新しくモヤモヤが出来たのは。でも、悪い感じはこれっぽちもなかった。不思議…。

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