どうしてこれがサンプルなのだろう

短歌にそれほど馴染みなく、へえ短歌俳句コンテスト、サンプルなんて珍しい、読んでみるか、という無防備な気持ちでページを開いたのに。

ひとつずつ歌を読む。
サンプルなのだから、当たり障りない内容なのだろう、なんて思っていた。
耳のかたちの歌で、ガンと殴られたように世界がひっくり返って、題材が呑み込めた。
読み進めるうちに、涙が出てきて、止まらなくて、久しくないような嗚咽まで震わせていた。

こんな短い文字数で、無味乾燥した画面に表示させて、そんなこと何も関係なく鋭く抉られた。短い文字数から削ぎ落とされた背景が、勝手に自分の記憶と感情で補足されて、どうしようもなく気持ちを巻き込んでいった。

この気持ちに整理をつけたくてレビューを書いている。
短歌ってすごいなと思うけど、そんな安っぽい結論で片付けたくない気持ちだ。

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