初めての感覚は… そんな感覚。。。

幸せ色に♪ 🌈

初めての感覚は… そんな感覚。。。

窓を開けると、滑らかな音楽が聴こえてくる。


私の耳に心地よいメロディー。

とっても、心地よい。ふと、懐かしさも感じる。

走馬灯のように、学生時代を思い出す。

憧れのキャンパスライフ、学食、サークル、アルバイトと目が回るような生活だった。


朝ご飯を自宅で食べ、1限から授業を受け、研究室では英和辞典を片手に必死になる日々。

研究室では少人数のため、一度の授業で3回は当てられる。

昨夜は、アルバイトがあったので予習が出来なかったのだ。

教授の目を盗み盗み、辞書をひき、ハラハラしながら自分の順番を待つ。

私の前の席の人の番になる。次の和訳は自信がある。

ほっと胸をなでおろしたところで、鐘がなる。


ふぅーと一息。

ため息なのか、安堵した心の声なのか…



しかし、私にとってアルバイトの時間は至福のとき。

コンサートホールのビュッフェで大好きな音楽に囲まれて働いていた。

コンサートを聴きにいらっしゃるお客さまに、軽食やソフトドリンク、アルコールを提供する。

若かりし頃の私は、特にコーヒーやシャンパンをきりっと飲む紳士にドキドキしたものだ。

それは、レディーファーストが板についている人が多く見受けられたからだ。

そのような方々は、音楽も丁寧にゆったりと楽しむ術を知っていた。

開場から開演までの時間は、これから始まる時間に思いを馳せ、休憩時間には軽食のサンドイッチをワインやシャンパンと一緒に楽しむ。デニッシュ生地のサンドイッチは人気の品であった。


開演のベルが鳴る。

すると、各々席につく。1人の紳士は、他のお客さまの食べたサンドイッチの空箱を一緒にさげてくれた。

我々ビュッフェのスタッフは、「美味しかったよ」その一言が嬉しいものである。

その次に呟いた言葉、それは、「第二部の音楽は君たちの柔らかな心に、雷がはしる、そんな感覚に陥るよ」と言い残し、席に向かっていった。


度肝を抜かれた。

一部は、滑らかで柔らかな包み込むような旋律。

二部は、激しくも情熱的な旋律が繰り返されていく。



先程の紳士が言った通り、柔らかな心に、雷がはしった。

こんな感覚は初めてだった。

そして、涙が止まらなかった。



この瞬間を忘れられない。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

初めての感覚は… そんな感覚。。。 幸せ色に♪ 🌈 @shiawaseiro

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ