変わり者に育てられた女性は、長じて戦いの儀式へ

 主人公・シャオロンは、水が希少な砂地獄の貧民窟で世紀末感あふれる世界を生き抜いてきた。
 ある日、養い親ともいえるヘンスによって旅立ちを促され、開かずの門から貧民窟の外へと追いやられた。
 そこで出会った若者によって、豊富に清水を使える世界へと連れ去られる。
 そうして国家の命運を握る十二年に一度開催される「儀式」へ強制参加することになってしまう。
 三つある「儀式」を戦い抜き、最後に勝利者たる栄誉を授かるのはただひとりと一国のみ。
 万年最下位の国の戦士としては、失うものはなにもない。
 しかも連れてきた若者から貧民窟では一生遊んで暮らせるだけの賞金を提示され、それを持って逃げ出そうと画策するシャオロン。
 果たして彼女は儀式に挑むのか。挑むとしてどこを目指すのか。
 シリアスとコメディを絶妙にブレンドした文体が、先を読ませる推進力となっています。
 読者選考も残り一週間というタイミングですが、今から一気読みをオススメできる作品となっております。

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