R.B.ブッコローの『伝書ミミズク春に飛ぶ』

少女の返事

　拝啓

　◇◆中学校の生徒会役員さんへ

　オレンジの鳥にはかなり驚かされたけど、手紙をもらえたことは、嬉しく思っています。

　私も、ディベートのことは覚えています。犬ならにおいで鬼を追いかけられると何度も言うものだから、この人はよほどものをよくなくすのかしら、と内心おもしろく思っていました。

　あなたは、生徒会が居場所になっているんですね。私も生徒会室によくいます。

　私の場合は、ひとりになれるからです。生徒会長なら、特に用事がなくても生徒会室にいられます。

　似ているようだけど、すこし違いますね。

　あなたはもしかしたら、私のことを誤解しているかもしれません。

　あなたが考えているほど、私は立派な人ではありませんよ。

　正直に言うと、返事を出すのをやめようかと思いました。私は、私のことを説明するのが苦手です。

　でも、鳥さんと話しているうちに、あなたの誤解が解けるまで、手紙でお話してみようと思いました。

　ただし！

　人に名前を名乗るときには、まずはご自分の名前を伝えること。

　いちばん大事なことを書き忘れている人には、私の名前を教えるわけにはいきません。

　だから、次の手紙には忘れずに名前を書いてくださいね。

　鳥さんを何度も飛ばせるわけにはいかないので、次からは郵便で私の家に届くようにしてください。

　住所を書いた紙を同封しておきます。宛名は「生徒会長」でいいですよ。イジワルかな。イジワルなこともします。

　それでは、お返事のお返事を待っています。

　かしこ

（すこしイジワルしたけど、これを一度書いてみたかったから、機嫌がよくなりました）