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「ザイニンの灯」でできたこと、できなかったこと

 短編ライトノベル「ザイニンの灯」を投稿しました。

https://kakuyomu.jp/works/16817330658375261376

 本作についてのねらいとチャレンジの結果についてまとめておきます。

〇本作の背景とねらい
 本作は自分で作ったイベント企画「第1回!アイテムガチャでお題を決める!短編ライトノベル祭り」のために書き下ろした小説です。
 お題をランダムに決めるイベントですが、主旨として重要なのは「短編の」「ライトノベル」を書くということでした。
 現在、ライトノベル作品のほとんどは書き下ろし、もしくは長期Web連載を前提とした形式で発表されています。
 そのため、「短い分量でお話をきっちりまとめる」という作劇手法に対する需要・供給がともに減っているように感じています。

 そんな中、MF文庫Jevoでは「ライトノベルの短編」が新作で10本、第二回では5本書き下ろされ、なかにはかなりこのみな作品もありました。
 この企画に触発され、「短編ライトノベル」を書く機会を提供しようと考えたのがイベントのねらいでした。
 ちなみに、「2万字」という基準は、MF文庫Jevoの作品傾向と、電撃大賞の短編部門を元に決めました。

 そういうわけで、この「短編ライトノベル」に自分が挑戦するにあたって、いくつか技術的な課題を設定しました。
・文字数の厳守
・「3幕8場」の構成を短編にアレンジすることで、ドラマティックなストーリーを表現すること
・広がりのある世界観を提示すること
・印象的なキャラクターを登場させること
 この記事では、これらについての振り返りをしてみようと思います。

〇余談
 好みの話かもしれませんが、MF文庫Jevoの参加作品には、短編にあまり向いていない特徴が見られる気がします。
 ざっくり二つにまとめると、以下の二点です。
・主題が提示されるまでが長い
・ストーリーにあまり関係がない会話が多い
 これらの特徴が「ライトノベルであること」の要請から生まれてくるのかについては、今後の研究課題にしていきたいと思います。

〇文字数の厳守
 おおむね達成できました。
 2万文字に誤差5%以内で書くことができました。
 企画としては、幅を広めに1.6万~2.4万文字としたのですが、自分としては誤差10%の範囲(1.8万~2.2万文字)にしたかったので、よくできたほうかなと思います。

〇「3幕8場」の構成
 全体のストーリーを8つに分割して、ほぼ同じ分量で描く、ということには成功しました。
 導入はやることが多いので最初の2話がやや膨らんでしまいましたが、後々にテンポアップしていくような印象になっていると思います。
 エピローグが入っている8話は3000文字あるものの、残りのページはおよそ同じくらいの導入にできました。
 とはいえ、当初の構成では現在の3話までを2話で語るつもりだったので、導入の複雑さを少し甘く見ていたように思います。
 テーマ的な分割を修正し、3話と4話をセットにして「キャラクターを登場させるパート」としてまとめたことで、いちおうは3幕構成っぽい形を保てる形で軟着陸しました。

〇広がりのある世界観を提示すること
 MF文庫Jevoは「優勝作品が長編になる」というコンテストなので、短編では主題を出し控えているような作品も見られました。
 が、短編として発表する以上はまず短編が面白くなるように書くのが筋だと思うので、今作でも世界観やテーマの表出を意識して書きました。
・短編の中で不足なく世界が描かれていること
・もっとストーリーを描けそうな広がりを感じさせること
 2つの両立を目指しました。複数のキャラクターを登場させてテーマも多重的に、空間的な広がりの余地も作ったつもりです。
 「もっと話が続けられそう」な感じが出せているでしょうか。ご意見お待ちしています。

〇印象的なキャラクターを登場させること
 最大の課題であり、自分にとってはもっとも難しいところです。
 本作では4人の人間キャラクターと、いわゆる敵役、モンスター役としてリーパーという機械を登場させました。
 リーパーが存在感のある敵として描けているかどうかが作品のデキにかかわるので、逃げることはできても勝てない相手だという印象を強調して書くように努めました。
 キャラクターについては、あまり過剰に描きすぎると文字数を超過してしまうので、それぞれのテーマをわかりやすく提示したつもりです。
 外見をあまり書き込んでいませんが、それぞれのキャラクターに特徴的なアイテム(ツルネはハット、ドスはマスク、チエは包帯)を身に着けさせることで、少ない文字数で印象付けられるよう工夫しました。
 ただ、ライトノベル的な魅力がわかりやすく出せているかというのは今後の課題ですね。大きなリアクションは文字数を食うので、視点者であるトオルがかなり落ち着いた(ドライな?)キャラになったせいかもしれません。

〇まとめ
 おおむね、技術的な挑戦については達成できたのではないかと思っています。
 ただ、自分が課題を達成したことと、作品として面白いことは別なので、読者が楽しめているかどうかは今後の反応を見ていくということで…。
 また、本作は5月の頭から書き始め、本来なら5月末に投稿する予定だったのですが、後半に差し掛かってなかなか筆が進まず、結局当初の予定の倍の時間がかかりました。この点については、明確に課題となったと思います。
 書く速度を上げられるよう、がんばりたいと思います。

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