鉄寝台の白い蝋燭達

東馬新太郎を見ると誰もが完璧な人だと褒め称える。整った容姿、裕福な家、優しい家族に囲まれて育まれた優しく大らかな性格に、ずば抜けた頭脳。
女性は彼を見ると頬を染め俯き、男性は隠しきれない嫉妬の視線を投げかける。
欲しいと思ったものは全て手に入る新太郎だが、彼の見ている景色は灰色で人々の顔は黒く塗りつぶれていた。

面白味のない日々に飽き飽きしていた新太郎はある日、フーカと名乗る美少年に出会う。見たことのないような金色の髪に陶器のような白い肌。
新太郎は灰色の世界に突如彗星の如く現れたフーカに心を奪われる。初めての一目惚れだった。
しかし、そんな新太郎にフーカは無慈悲に告げる。
「この体は冬には動かなくなる。死ぬんだ。だから冬が来るまでに全てを終わらせる」

フーカが冬まで生きれない、想像を絶…続きを読む