愛と、愛と、そして、愛。

「事実は小説よりも奇なり」を地で行く、古代ギリシャの物語。
前作で描かれた「レウクトラの戦い」のその後の出来事が、ティリオンと王女アフロディアの二人を中心にして紡がれる。

情緒豊かに描かれる人物たちは、現代を生きる人たちなのではないかと錯覚を起こすほど。
それはひとえに作者さんの努力の賜物。
知識は柔らかく噛み砕かれ、事実は人物の言葉で語られ、すんなりと物語の世界へ入っていける。

この【前編】では、多くの成り行きが宙ぶらりんとなり、【後編】への期待と架け橋になりましたが、短い最終話では一つの収束を見せました。

それは国、時代によらず、普遍的なもの。
「愛」が語られました。
振り返れば、この物語の人物たちはみな己が信じる「愛」によって行動しています。

形の違う、それぞれの愛の物語。
ぜひご堪能ください。

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