きっと最高の『一粒』が見つかる!満腹必須なラブファンタジー♡

何事にも全力投球、加えて純真で目が離せないお嬢様のアリシア。そして彼女に影のように付き従う美しき執事、ノクス。魔物に対する知識や道具を操るふたりのそばに肩を並べるのはなんと――美声のマンドラゴラに泣き虫のウィル・オ・ウィスプ、さらにメイドなスケルトン!?(そして呆れ顔のハンターがひとり)

どう見ても珍妙なこの一行ですが、彼らには失踪したアリシアの父セドリックを探すというちゃんとした目的が。上位の魔物を見つけることができれば父の失踪の手がかりをつかめるかもしれないと奮闘するアリシアと、毒舌と鞭をふるいながらもなんやかんやで世話を焼いてくれるノクス。実はお酒馴染みでもあるこの二人の間には、主人と従者というにはどうも甘い雰囲気が漂っています。

結構わかりやすい態度(笑)のアリシアに比べ、ノクスの態度にはどうやら複雑な背景が見え隠れ。それでもその静かな眼差しの中に、アリシアを想う気持ちがはっきりと見えています。では彼が一歩を踏み出せない理由はなんなのか。ほとんどの読者はその理由をすぐに悟ることと思いますが、それがわかったところで簡単に解決させないのが月音さんという書き手なのです。相手の正体を知ることなんて、地獄の門の表札を解読しただけにすぎません。門の先には有無を言わせない、本当の試練が待ち構えているのです。

……となんだか脅しに近いようなご紹介になってしまいましたが、全体的にはコミカルが強めのテンポ良い作品というイメージなので安心していただいきたいです(笑)。月音さんが得意とするわかりやすくも美しい情景描写はもちろん、伝わりそうで伝わらない恋のじれじれ、想うからこそ離れたいほろ苦さ、元気がもらえる楽しいギャグも――例えるなら、とても贅沢なチョコレートアソートを味わっているような気分になります♡

甘いものが似合う季節にぴったりのファンタジック・ラブストーリー。紅茶のご準備をお忘れなく♡

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