第14話 地獄へ堕ちろ
「この糞が、糞が、クソがァァ!!」
神父の黒い革靴が、幾度も踏み付けた死骸の血液に染まっている。
「神父様……もう、そろそろ」
「この大クズがあ!! テメェの世界で生きられねぇからとノコノコ入って来やがって、蛆虫。こぉの蛆虫がぁあらぁ!」
ようやくと気の済んだ様子の神父は、逆立った髪を撫で付けてから足を下ろしていった。
そしてそこにある、もう原型もないただの肉塊を眺めて、忌々しそうにツバを吐き付ける。
そして煤だらけになったスータンを叩き、深い鼻息を落とした。
神父の狂行を黙して見守っていた民達は、安堵した息を漏らしていく。
「おい、煙草を寄越せ、誰か煙草を持ってねぇのか!」
酷く乱暴な物言いで神父が言うと、一人の男が前に出て煙草を一本とマッチを差し出した。
「これで災いの元は消えた……俺達は今まで通りに暮せば良いんですよね、神父様」
神父は男の差し出した掌を荒々しく払い退けると、彼の胸元を探って煙草とマッチを箱毎頂戴する。
そしてその内の一本を咥えて火を灯した。
神父が深く息を吸い込むのに合わせて、チリチリとオレンジ色の光が根本にまで迫っていく。
そして夕暮れの空に紫煙が昇る。
「え……神父様、何を?」
神父は血に濡れた巨大な銀の十字架を逆さまにすると、地に突き立てた。そして銀製のロープを取り出す。
「……この罪人の墓標に」
逆十字になった墓標に、神父は肉塊を括り付ける。
そして早くも吸い終わった煙草を、その十字架に押し付けた。
「聖職者様が、神聖なる十字架にそんな……」
誰かがそう声を漏らした。
神父は新たな煙草に火を灯しながら、眉を吊り上げる。
「知らねぇよ」
そして逆さまになった肉塊を見下ろしながら、ニヒルな笑みと共に、ぶっきらぼうに言い残す。
「
【〈Berserker of Eden 〉チート殺しの異世界追放代行人】―楽園追放、断罪執行、異世界トラベラー皆殺し― 渦目のらりく @riku0924
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