八の字を描くように舞い、ゲイ・ボルグのように刺す!
- ★★★ Excellent!!!
東京でも、ビルの屋上を開放して養蜂を……なんてのが一時期ニュースで取り上げられたことがあったりしましたねぇ……なんてことを思い出しながら読み始めれば、場所は東京郊外。それも賃貸オフィスで養蜂とは……。
どんな物語が展開されるのか、わくわくしながらページを捲る手が止まらないです。ヨーソローならぬ、ヨーホオー(養蜂)と参りましょう。(無理やり過ぎる……
広大な花畑を自由に飛び回る蜂たち。「情報」という花も無限に種類があって、その花言葉も実に様々。たまに見た目が綺麗な「情報」があったとしても、実は棘(ウイルス・バックドア・ダークウェブ等々)が隠れているなんてことも。
ただ、そういった不純物を取り除いて、完成する「データのハチミツ瓶」の価値に値段なんてつけられるのでしょうか……青天井のように思えて、思わず白目をむいてしまいそうになりますね。ラベルはあれども、プライス(は)レス。
単純作業の繰り返しが全くの無駄になるかといえば、そんなことは絶対にないわけで。人間に置き換えて考えてみても、その単純作業の繰り返しの中から「もっとこうした方が良いんじゃないか」なんてアイディアが浮かぶものです。自己学習してくれるAIならそれに近いか、あるいは遜色ない働きを見せてくれるでしょう。
蜂須賀がきっかけさえ、与えれば。補助輪付き(両方)から補助輪付き(片方)→補助輪外して、途中まで支える→最終的に、I can fly! I am free!
(もう、六角形の補助輪なんて要らないんだぜ!)
ついに地面からも離れてしまいました。さすがはハニービー。
自身を女王蜂と表現しつつも、決して踏ん反りかえらないその態度こそ、部下(蜂達)から慕われる所以なのかもしれません。
慎重派のマーヤに対して、積極的なハッチ。どちらが良いというのは、完成品の出来や顧客との兼ね合いもあるので一概には言えませんが、リスクを冒さずして安定的な品質を求めるか、競合他社を見据えた上でハイリスクハイリターンをとるか。個人的には、マーヤですかねぇ……。(中の人は)博打とか好きではない(というか、したことがない)ので……。
そんな中でも極めてマニアック……いや、通というべきかもしれませんね。ビービーエイト。「ビービー」とだけ聞くと、なんかエラー音を吐き出しているようにも聞こえますが、それは、ビービーエイトに対して失礼ですね……。人間でもミツバチでも、成長速度は一定ではありませんし、皆一様に最初から補助輪なしで飛べたわけでもないですし、温かく見守る蜂須賀の親心が垣間見えた瞬間でした。私も読みながら、「いつかビービーエイトが『見てみて、I can fly! I am free!』とか言って、(ハニカム構造だけに)はにかむような笑顔を見せてくれる日が来ますように」と祈るような心持ちでした。
そんなミツバチたちに立ち込める暗雲。お日様の下でなければ蜜(情報収集)もままならないでしょう。デリバリー・グリズリーとはまた大きな会社ですね……。
しかし、なんですね。蜂須賀の仕掛けたハニーポットに足跡を残していくとは……グリズリーだけに、本能にはどうやら逆らえなかったようですな。それでいて、逆恨みとは……。くっ……逆立ちしても太刀打ちできないなんて、なんと無力なことか……。
ハニービー→ービー二ハ……やはり、逆立ちしても(ハニービーという文字を逆にしても)何者にもなれない……。
そんな中八須賀が指示した私を護ってという命令。曖昧模糊であり、苦肉の策であり、でも、それが結果的に功を奏することになるとは。( ゚д゚)ハッ!そうか……曖昧の中に「愛」という文字、そして、模糊の「糊」という文字。蜂須賀の「愛」を一心に受けて育ったビービーエイトが、「糊」のように強力な情報を収集してきてくれたのですね。I can fly! I am free!
劣っているなんて、とんでもない。まさか暗闇でその針を研ぎ続けていたとは……能ある蜂は針を隠す、というわけですね。
すげぇ……の一言で終わらせるには、ビービーエイトに対する賛辞として、物足りないので、今回は最大限のリスペクトを込めた言葉で締めたいと思います。
薬になれなきゃ毒になれ。でなきゃあんたはただの水だ。 なんて言葉がありますが。今回の一件になぞらえるなら。
密になれなきゃ独になれ。でなきゃあんたはただの蜂だ。といった所なのでしょうが。実際のところはそうではなくて。
蜜になれなきゃ毒になれ。でなきゃあんたはただの蜂だ。というわけですね。
ビービーエイトの毒が、デリ・グリを捉えるまで、あと……。