空港カレーその一・南国の空港

第21食 南ぬ島ではその土地の和牛を:スカイカフェいしなぎ屋、石垣空港

 駅や空港を移動の起点にする場合、たしかに、列車においては、駅に到着して直ぐに乗車する事が多く、出発前に駅弁を買ったりする事はあっても、駅中で食事をするのは稀で、対して、空港の場合には、保安検査場の通過といった事情もあって、往々にして、時間的に余裕をもって、予約した飛行が離陸する時刻よりもかなり前に到着するように書き手は心掛けている。その結果として、空港でお土産を買ったり、食事をする時間ができる分けだ。


 さて、二月末から三月初にかけて沖縄県の石垣島を訪れていた書き手は、御多分に漏れず、石垣から那覇行きの飛行機に乗るために、かなりの時間的余裕をもって、石垣空港に向かい、全国それぞれの地に帰ってゆく知人達と共に、空港一階のフードコートにて食事をとる事と相成ったのである。


 このフードコートの周囲には幾つかの飲食店が出ていたので、それらをざっと見渡した後で、石垣っぽい食材を使った料理で島への滞在の〆としよう、と思った書き手が選んだのが「いしなぎ屋」さんであった。


 いしなぎ屋さんは、牧場にて石垣牛の繁殖、フェリーターミナル・エリアで、精肉店での石垣牛の販売、これを食材とした焼き肉店運営までを一貫して行っていて、ここ石垣空港においては、「スカイカフェいしなぎ屋」という飲食店を経営している。


 焼き肉専門店は、まさに、石垣牛の焼き肉屋なのだが、これに対して、石垣空港の店舗で提供しているのは、例えば、「石垣牛 プレミアムステーキ」(五八〇〇円)、「石垣牛 ローストステーキ」(四九八〇円)といった、空港のフードコートで食すには高すぎるものも見止められたのだが、「石垣牛 ローストビーフ丼」(二一〇〇円)、「石垣牛 牛丼」(一五〇〇円)、「石垣牛 肉うどん」(九八〇円)といった、ちょっと頑張れば手が出るものから、丼やうどんなど、お手頃価格な品まで揃っている。カレー中心の食べ歩きをしている書き手は、もちろん、「石垣牛カレー」(一三〇〇円)を選んだのであった。

 ちなみに、ビールに関しては、「オリオンビール」と「石垣島地ビール」が用意されていたのだが、石垣牛には石垣の麦酒を合わせよう、と思い立って、書き手は「石垣島地ビール」を選ぶ事にした。


 石垣島滞在中に訪れた、日本最南端の『ココイチ』では、書き手は、南ぬ豚、すなわち、アグー豚のソーキカレーを選び、石垣牛のカレーは泣く泣く諦めたのだが、期せずして、石垣滞在の最後の最後に、空港で石垣牛を食べる機会に恵まれたのだった。


 さてさて、いわゆる〈石垣牛〉の品種は黒毛和種で、地名が入ったその名の通り、石垣牛とは、沖縄県の石垣で生育されている肉の総称である。亜熱帯に位置している石垣は、言うまでもなく温暖な地域なのだが、和牛は、その性質上、温暖な地域を好むので、南国の石垣の風土は、和牛である石垣牛にとって、いわば、ストレス・フリーで、過ごすに快適であるそうだ。

 さらに、石垣の温暖な環境は、石垣牛の肉質に与える影響が大であるらしく、脂身が多すぎないのが石垣牛で、さらには、味わいも甘みがあるものになる、との事である。


 なるほど確かに、牛肉を食材としたビーフカレーは日本全国どこでも食べられるのは間違いない事実だ。

 だがしかし、同じ牛肉を具材にしたカレーとはいえども、旅先では、可能な限り、その土地の食材、今回の場合は、石垣牛を使った品を食べる事こそが、遠征先でカレーを食べる際の醍醐味だよな、そのように思う書き手であった。


〈訪問データ〉

 二〇二五年三月二日(日)十三時

 スカイカフェいしなぎ屋:南ぬ島石垣空港

 石垣牛カレー:一三〇〇円、石垣島地ビール:七〇〇円:計二〇〇〇円(クレカ)

 

〈参考資料〉

〈WEB〉二〇二五年五月九日閲覧

 「食べる・飲む」<「空港ですごす」、『南ぬ島石垣空港』

 「スカイカフェいしなぎ屋」、『石垣牛専門店いしなぎ屋』

 「JA石垣牛とは」、『JAおきなわ』

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カレイなる巡礼 〜カレーを食べに東奔西走・南船北馬〜 隠井 迅 @kraijean

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