恐怖とエンタメの絶妙な配合比率。普段ホラーを読まない方も、ぜひ!

 ……とんでもない物を読んだ。
 俄にホラー・怪談のジャンルが盛り上がるカクヨムに、またひとつ傑作が。

 とてもとても秀逸な怪談エンタメ連作短編小説です。
 根っからのホラー好きはもちろん、普段ホラーを読まない方、ライトノベルファンにもぜひ手に取っていただきたい逸品です。
 恐怖とエンタメ感の配合比率が絶妙。なので、ホラーが苦手な方でもきっと楽しめるはずです。

 主人公は小学5年生のタケル。この「小学5年生」という設定がきっと絶妙なのです。だって、小学生を痛々しい目に合わせられないじゃないですか。凄惨な結末を迎えさせるわけにいかないじゃないですか。
 なので安心感を持って読み進めることができるのです。道中のスリルを味わいながらオチまで一気に読み進めて、お化け屋敷の出口を抜けたように「ほっ」と一息つけるのです。

 小学生ならではの活動の数々に懐かしさを感じることもできます。特に僕は、タケルとヒロイン的ポジションの舞原の関係性が「青春一歩手前」感にあふれていて大好きでした。そういった方面からも楽しめますよ!

『町の地図には、恐怖がいっぱい』は、ホラーとエンタメの融合を極めており、これまでにない新鮮な読み味を提供してくれます。
 出てくる怪異のバリエーションが豊富で飽きが来ず、一話完結の短編形式も手軽に楽しめます。

 ぜひ一度、この不思議な世界に足を踏み入れてみてください!!

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