町の地図には、恐怖がいっぱい

七倉イルカ

序章 


 今年の夏休み、ぼくは自分が住んでいるN市の地図をつくりはじめた。


 ただの地図じゃない。

 不思議で不気味な出来事が起こった場所に『怪』と印をつけた地図である。


 最初は軽い気持ちでつくりはじめた地図だけど、すぐにとんでもない地図になることがわかった。


 一ヶ所、二ヶ所、三ヶ所……と、『怪』の印がどんどんと増えていったのだ。


 ぼくが今まで知らなかっただけで、この町は不思議で不気味な出来事に満ちていたのである。


 でも、もしかすると、それはこの町のことだけじゃないのかも知れない。

 きみの町だって、その気になって調べてみれば、いろんな不思議で不気味なことが、あちこちで起きているんじゃないかな?


 夏休みは終わってしまったけど、まだ地図は完成していない……。


 地図をつくるきっかけになった出来事から、書いてみようと思うんだ。


                浦座小学校 五年三組 国見タケル

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