第7話

風真かざまうらら

白衣の女の人は自らをそう名乗った。

歳は二十歳前後か?私たちよりも五歳ほど歳上であろう彼女は天海の容態について教えてくれた。


「彼は大丈夫よ。ちゃんと止血したし、もう少ししたら起きると思うわ」


「そうですか。ありがとうございます、風真さん」


「いいえ〜。怪異を討伐する人の助けをするのが私の仕事だから」


お礼をする私に風真さんはニコニコとした顔で告げる。

つまりここはポケ○ンで言うところのポケ○ンセンター的場所ということか?


「ところで、星羅ちゃんはどこの部隊なの?」


「部隊?」


私は助けを求めるように阿川を横目で見る。


「あーっと、風真さん。コイツ、俺と同じでどこの部隊にも入ってないんですよ」


「そうなの?なら、こっちが巻き込んじゃったのね。申し訳ないわ」


驚いたような表情をした風真さんが少し慌てたように頭を下げる。

えーっと、巻き込んだというのは怪異の件についてでいいのだろうか。


それと、部隊とは?

少年漫画であることを考えれば、主人公が所属する怪異を倒す組織(?)の中の部隊だとかそういうことだろうか?

そもそもその組織があるのかすら分かってないんだけどさ。

詳しいことは後で阿川を問いただすとして、取り敢えず風真さんからいろいろ聞いておくか。


「あの、ところで。阿川と風真さんはいつ頃知り合ったんですか?」


「一週間前の昼頃よ。ここの前で倒れているところを見つけたの」


風真さんはそう言って外の方を指さした。

一週間前、か。

私はその単語に目を細める。

阿川は一週間前ここで倒れていて、私は今日山の中で倒れていた。

要するに、転移する時間と場所はバラつきがあるということだろう。

阿川がここにやって来たのは昨日か今日あたりかと思ったが、予想より前だった。

私が一週間山の中で倒れていたという可能性はない、はずだ。多分。ないって信じてる。


「でも、阿川くんのお友達が見つかって良かったわ。阿川くん、星羅ちゃんに会うまでどこから来たかとか全部忘れちゃってたのよ?」


「は?」


その言葉に私はピシリと固まった。

私と会うまで忘れてた?どういうこと?

阿川の方を見れば、当の本人は気まずそうにそっぽを向いていた。

そんなの聞いてないぞ、おい。







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