夜が消えた日

大隅 スミヲ

夜が消えた日

 夜が消えた。

 僕はわけがわからなくなっていた。


 日曜日。僕たちはお父さんの運転する車に乗ってお出かけをした。

 お昼ご飯を食べて、公園でアスレチックをやって、夕方には帰ってきた。


 夕飯は僕の好きなサケのムニエルだった。

 アニメを見ながら、夕飯ができるのを待っていた。

 小学生の女の子が主人公のアニメだった。このアニメの女の子はみんなにあだ名で呼ばれていた。家族からもあだ名で呼ばれるなんて変なのと思いながら、僕はアニメを見ていた。

 そのアニメも終わり、次は家族が出てくるアニメだった。

 このアニメはお父さんが子供のころから放送しているらしい。

 みんな、海の名前がついている家族のアニメだ。


「夕飯ができたよ」


 お母さんがいった。

 お姉ちゃんが自分の部屋から出てきて、みんなで食卓を囲んだ。


 ご飯を食べる時はテレビを消す。

 それが僕の家のルールだった。


「宿題おわったの?」


 ご飯を食べ終えて、テレビをつけようとしたらお母さんがいった。

 あ、ヤバい。なにもやってないや。

 僕は慌てて二階にある自分の部屋に戻った。

 夕焼けが眩しくて、僕は部屋のカーテンを閉めた。


 僕は宿題の日記を書いた。

 そこまでは覚えている。


 気がつくと朝だった。

 僕はベッドの中で眠っていた。


「あれ?」


 僕は思わず大きな声を出してしまった。


「どうしたの?」


 心配そうな顔をしてお母さんが部屋にやってきた。


「夜が消えちゃった」


「え?」


「だって、さっきまで夕方だったのに、もう朝なんだよ」


 僕の言葉を聞いてお母さんが笑った。




 【夜が消えた日:終わり】

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夜が消えた日 大隅 スミヲ @smee

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