最終話 ラブラブ☆バカップル転生無双!きみの心も救うのだ!

 ――ここは異世界!

 愛に満たされ愛によって再構築された巨大大陸、究極合体グレードアイシテルノサ大陸(ムーンミクスドエディション)!

 救世主の活躍により悪は討たれ、愛と平和を取り戻した大地!

 けれど人あるところ、必ず悪と悲しみと混沌は現れる!


「モーミアゲアゲアゲ(笑い声)! オイラはモミアゲマスターのモミーア・ゲナガーイ!

 オイラの華麗なるもみあげさばきで世界を支配するモミアゲー!」


「ヒィィィ助けてイッパンシミン〜!」


 逃げまどう一般市民を、モミアゲマスターのモミーア・ゲナガーイのもみあげが捕まえ縛り上げた。

 彼はもみあげが長いのだ!


「モーミアゲアゲアゲ(笑い声)! オイラのもみあげさばきに勝てるヤツなどこの世にいない……モミ?」


「バーッカップルプルプル(笑い声)! そこまでだ悪党よ!」


 モミーア・ゲナガーイが見上げた先、建物の上!

 立派なアホ毛を生やす若い男女!


「僕の名はコイチロー! バカップルの彼氏の方!」


「わたしの名はアイリ! バカップルの彼女の方!」


 そして二人は背中合わせにポーズを決めて、アホ毛が組み合わさってハートマークを作った。


「「二人はバカップル!!」」


 ばばーん。愛のオーラが大爆発。

 その火花とオイルのようにデロデロな桃色オーラは地面に落ち、地表でメラメラと燃えた。


「あちゃちゃちゃもみあげが燃えるモミアゲ〜!」


 地面についていたもみあげが燃え出し、モミーアはあわてふためいた。

 彼はもみあげが長いのだ!


 バカップルの背後、アイラッビュ王国兵士のツッコが顔を出して、げんなりと声をかけた。


「おまえら、これからもずっとそのアホのバカップルでいくのか? 素の性格はアホじゃねーのに、大変じゃねーか?」


「まあ、こういう能力だからね」


 晴れ晴れとした顔で、コイチローは答えた。


「さずかった能力でどう生きてくのか考えるのが、僕なりの礼儀だって思ってるよ」


 その表情を見て、ツッコは神妙な顔で押し黙った。

 誰に対しての礼儀なのかは言わなかったが、ツッコには察しがついた。


 モミーアがもみあげの火を踏み消して、バカップルに怒鳴った。


「邪魔をするならオイラのもみあげでやっつけてやるモミアゲ!

 おまえらも【神に愛されし者ラヴド】なら、世界を支配したいというオイラの気持ちも分かるだろうモミアゲ!」


「【神に愛されし者ラヴド】か、そうなのかもしれないね」


 コイチローはアイリの肩を抱き寄せて、言った。


「この世に生まれてきたことが神様からの愛なんだって、僕は考えてるよ」


 抱き寄せられたアイリは目を細めて、ふんわりと、泣くような目で笑った。


 愛の桃色オーラが高まる。

 そのエネルギーでアホ毛がうにょうにょと躍動して、襲い来るもみあげと打ち合った。

 打ち合いながら、コイチローは告げた。


「せっかくだから、きみをアイドルライブに招待するよ!

 新進気鋭の人気急上昇中、デビル幼女系ドSアイドルだよ!」


「みんなで隕石を浴びてアフロになって踊る会もあるよー!」


 アイリも告げて、バカップルの二人は寄り添って、愛の桃色オーラを高める。

 二人は戦い続ける。晴れやかに。




【ラブラブ☆バカップル転生無双! 〜愛しかなかったバカップル、異世界転生して愛の力(物理)で世界を救う!きみの心も救うのだ!〜 終わり】

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ラブラブ☆バカップル転生無双! 〜愛しかなかったバカップル、異世界転生して愛の力(物理)で世界を救う!きみの心も救うのだ!〜 雨蕗空何(あまぶき・くうか) @k_icker

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