リアリティのある異世界転移ファンタジー、ここにあります!
- ★★★ Excellent!!!
主人公の恒夜は、人の心に踏み込むのが少し苦手な男の子。彼は以前ハマっていたオンラインゲームが終了してから、空虚な日々を過ごしていました。
そんなある日、異世界転移にてゲームの世界に戻ることができると知ります。
恒夜は悩んだ末、あちらの世界に残した約束を果たすため、ゲームの世界に転移することを決心します。さあ、壮大な物語の幕開けです!
作り込まれた世界観、情景が目に浮かぶような描写と、魅力的なキャラクター造形。
本作で推したい要素はたくさんあるのですが、しいて一つだけあげるとすれば、主人公恒夜の葛藤と成長だと思います。
彼は、異世界転移してからも元の世界のことを大切に思っていて、父親と連絡を取り合ったり、家族のことを思い出して胸を痛めたりします。異世界転移をして「新たな人生!」と割り切ってしまうのではなく、これまで彼が生きてきた日々がきちんと今に受け継がれていて、リアリティを感じるのです。
過去が明示されているからこそ、読者はいっそう恒夜の心に寄り添うことができ、その成長を応援したくなるでしょう。
本作は冒険もののファンタジー!
異世界転移ものがお好きな方や、旅するファンタジーに胸が高まるという方々にはもちろんお勧めです。
しかしそれだけでなく、主人公の心の動きや成長といったドラマを楽しみたい方、そして「実は異世界転移ものは苦手……」という方にもあえてお読みいただきたい一作です。
きっとこの世界と恒夜のことが大好きになるはず。おすすめです!