見えない何かと繋がる日【KAC20236参加作品】

うり北 うりこ

見えない何かと繋がる日


「あぁ、またこの日だ」


 カレンダーを見てため息をつく。そのカレンダーと私の間をふわりと目玉を落としそうな何かが通り、頭に包丁が刺さっている何かが壁をすり抜けたりしている。


『ねぇ、遊ぼう』


 そう言って制服のスカートの間へと入り込んでくる顔面が窪んだ何かを無視して、私は鞄を握りしめて家を出た。

 こんな日でも学校はある。私は、気付かないふりをしていつもの道を歩く。


 今日は7のつく日。世間ではラッキー7。だが、私にとってはアンラッキー7。

 確か中国では7のつく月は幽霊月と言われ、幽霊が世に放たれる迷信があるんだとか。

 そして、私はというと7のつく日は何かよく分からないものが現れて、遊ぼう……と誘ってくるのだ。だから、7のつく7日、17日、27日は私にとっての幽霊日のようなもの。

 昔、一度だけ訳が分からず反応したら、目の前がいきなり真っ黒になって追いかけ回された。どうやって戻れたのかも分からない。また同じことがあったら戻れる保証なんてない。


 だから無視、とにかく無視。私は何も見えてません。


『なぁ、本当は見えてるんだろ?』


 そう言う体の半分が崩れているメタボのおじさんをすり抜け、目玉や鼻、すでに止まった心臓を投げつけてくる子どもらしきものに目もくれず、どうにか駅についた。


『遊ぼう?』

『見えてるんだよな?』

『無視するなよ。なぁ、見えてんだよなぁ!!』


 ホームの人混みのなかに混じる何か。絶対に反応しないと心に決めて、やって来た電車に視線を向ければ、脳みそが飛び出た何かに押されて若い女性がホームから落ちた。


「あっ!」


 思わず声が出た瞬間、女性の首はあり得ない角度に曲がり、私を見た。


『やっぱり見えてた……』


 そこにいた何かたちは一斉に私の方を見ると、視界は黒く染まった。


『『『遊ぼう遊ぼう遊ぼ遊ぼ遊ぼあそぼあそぼあそぼあそぼあそぼあそぼあそぼあそ……』』』


「ぁそ……ぼ……」


 


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