桜の樹の神話 👻
上月くるを
桜の樹の神話 👻
書店の店先に築いた本の城郭の尖端に黄色い爆弾をのせる『檸檬』で衝撃を与え、31歳で早逝した梶井基次郎さんは、なぜあんな怖い桜の話を書いたのでしょう。
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――桜の樹の下には
二三日前、俺は、ここの
しばらく歩いていると、俺は変なものに出喰くわした。それは溪の水が乾いた
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無頼派と称される坂口安吾さんは、代表作と言われる短編『桜の森の満開の下』になぜ人間の首の蒐集に執着する、妖しくも美しい女盗賊を登場させたのでしょうか。
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一枚の葉もつけず、ゆっさゆさと妖艶な花房をゆらす満開の桜の魔力は、いまなおわたしたちを虜にして放さず、軽い目眩や頭痛、ときに幻視や幻聴も誘い出します。
この美しい瞬間があるからこそ、列島の住人は長く寒い冬を堪えられるのだとも、一夜の風雨に呆気なく散っても、来年の薄紅色に希望を抱いて一年を送るのだとも。
来年も見られるとは限らないのにねえ……そんなことを考えながら、残雪の山脈に映える朝桜、夕桜、夜桜、花の雲、花の雨、花明り、花月夜、花吹雪、花筏を……。
桜の樹の神話 👻 上月くるを @kurutan
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