星の曾孫たち 🌟

上月くるを

星の曾孫たち 🌟





 春先一番、ややもすればまだ冬のうちに野原に咲き出す花は瑠璃色の犬ふぐり。

 日当たりのいい土手や空き地に細かな四弁の花を見つけるとうれしくなります。


 長い冬に堪えて春を待ち侘びる気持ちはみな同じと見え、浅春の季語「犬ふぐり」を使った俳句は枚挙にいとまがありませんが、不動のトップを飾るのはつぎの一句。

  


 ――犬ふぐり星のまたたく如くなり    高浜虚子



 これを持ち出されるとギャフンという感じで、だれも太刀打ちできなくなります。

 ですが、天邪鬼なヨウコさんはひそかに思うのです、なんか、へいぼん。(笑)


 それが証拠に、どこへ行っても水をまいたように咲いている小花を見るたび巨匠の名句を思い出すとちょっとアレで、そのうち奇妙奇天烈な季語までイヤになります。




      🌠




 だいたい、もっとこぶりの薄紅色の花をつける日本古来の犬ふぐりは絶滅に近く、現在の瑠璃色は外来のオオイヌノフグリですから、厳密にいえば季語自体が誤りで。


 つまりは星に例えることからしてヘンなのですが、葉と茎の短毛で保温して霜や雪に堪えながらせっかく咲いても一日の命という植物にはなんの罪もないわけで……。


 そこで、なにも知らずに与えられた生命を謳歌している花に敬意を表し、まことに僭越ですが大虚子先生の向こうを張った拙句を日本のオオイヌノフグリに呈します。



 ――さんざめく星の曾孫や犬ふぐり    くるを


 

 なんだ、結局は「犬ふぐり」を脱していないじゃないかとお叱りかと存じますが、俳句の世界で季語は絶対不可侵のものですから、その点は何卒ご寛恕くださいまし。




      🪴




 まあ、なんですよね、やたらに細腕を振りまわしてひとりで息巻いてみたところでどなたにも歯牙にもかけてもらえず、言い訳問答いっさい無用の世界でございます。


 せいぜいがネット小説の片隅でけんかを売ってみました~(笑)ぐらいのところ、まことにご無礼を申し上げました。ちゃんちゃん。(´艸`*)




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