ずっとあなたに恋してる

安崎依代@『比翼は連理を望まない』発売!

 ずっと、画面越しのあなたに恋をしていた。


 軽妙なトーク、キレのあるツッコミ、どんな企業とコラボをしても物怖じしないその博識さ。結構毒舌なのにモフモフボディとコミカルな動きがそれをうまく緩和している。


 R.B.ブッコロー様。ブッコローは『ぶっ殺』から来てるわけじゃなくて、『Book』と『owl』の組み合わせって前に動画のどこかで言っていたような気がする。


 個人的に推しなのは岡﨑さん登場回。どれも推せる。キムワイプ回と蓄光ガラスペン回はまさに神回。ガラスペン回とインク回では沼に落とされかけた(今もギリギリ踏み留まっている)


 私はいちニワカファンだけども。


 それでも、あなたにずっと恋をしている。


「いつかナマのブッコロー様にお会いしたい……!」


 と言っても、私の居住地は東海圏。拠点が横浜である有隣堂へ気軽に出向くことは難しい。折しも私が『ゆうせか』に出会ったのはコロナ全盛期。遠出そのものが難しかった。


 鬱々としていたあの頃の私に、本の、文具の、その他幅広い楽しさを教えて、心を救ってくれたチャンネル。その神MC様。レクサスにだって乗っちゃうマスコット。


「ナマでお会いするには、バカ売れ作家になるしかないのかしら……?」


 作家コラボ回を周回しては、『私ごとき零細作家では無理な夢ね』と小さく微笑む。そもそも実生活でも苦労するレベルの人見知りである私ごときが『ゆうせか』にお邪魔するなんて烏滸おこがましいにもほどがある。妄想することさえ罪深い。


 だけど、ブッコロー様の声で、一度でいいから呼ばれてみたい。


「『本日のゲストはこちら! 『そろそろプロを名乗ってもいいんじゃないかと思ってる作家』安崎依代先生でーす! お願いします!』……なんちゃって」


 そんな呟きをこぼして、私は今日もスマホの電源を落とすと布団に転がる。


 明日も無慈悲に仕事である。しがない兼業作家は、真面目に本業に出勤し、真面目に原稿を書いて日常を回していかなければ。


 そんなことを考えつつも『ブッコロー様のモフモフボディを思いっきり抱きしめてぇなぁ……』と思いながら、私は眠りに落ちた。




 その日、私は夢を見た。


 トリはトリでも、ブッコロー様とはフォルムが違うトリが出てくる夢だった。


 ブッコロー様よりモフミと丸みが強い、でもモチーフになったトリの種類は似たトリだった。


 そのトリに私は、夢の中で何か、招待状のような物をもらったような気がしたんだけども……


「……ま、夢だしな!」


 いつになくスッキリと目が覚めた私は、枕元のスマホを取り上げながら布団から抜け出した。起きてからすぐにカクヨムに投稿してある作品への反響チェックをしてしまうのは、私のクセである。更新した日しか反響がほぼない零細作家だけども。


「……ん?」


 そこに夢で見たのと同じトリがいたような気がしたけれども、それに何かを思うよりも早く、私の指は『ワークスペース』のアイコンを押していた。


 そんな私のスマホの裏側から、夢でトリから手渡された招待状がヒラリと落ちたことに気付くのは、数分後の話。


 その招待状を手にした瞬間、魔法のドレスとカボチャの馬車を与えられたシンデレラよろしく、トリに導かれるがまま電脳世界に放り込まれた私の大冒険が始まることを、寝起きの私はまだまだ知らない。



【END】

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ずっとあなたに恋してる 安崎依代@『比翼は連理を望まない』発売! @Iyo_Anzaki

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