第121話 【野営地】
121.【野営地】
それは【カストラ】ダンジョンでの調査依頼が1週間ほどたった時の出来事だった。
いつも通り1日の探索が終わり【野営地】へと入り、明日へ備えて晩御飯でも作ろうかとしていた時である。
目の前をぴょこぴょこと短い足で跳ねるウサギが通り過ぎて行った。
最初見たときは何だウサギか………と思っていた。
「おー、ヘレナ見て見なよウサギがいるよ………ウサギ!?なんで【野営地】にウサギがいるんだ?」
座っていた椅子から勢いよく立ち上がりながらウサギを観察する、白いふわふわの毛を纏いまん丸なその姿は可愛らしい。
どこからどう見てもただのウサギだ。
次に周りを見渡してみる、本当にここがちゃんと【野営地】内なのかを確認しておきたかった。
GPを使用して建てた家に何台か置いてある自販機、たまに火をおこしてBBQするための焚火台、ヘレナ専用人型機を操作しているヘレナ。
うん、確かにここは【野営地】内のはずだ。
ならどうしてウサギがいるんだ?ここに生き物をいれた記憶なんてないんだが。
「ヘレナ、ウサギがいるんだが?どう思う?」
「そうですね、スキャンしてみましたがただのウサギですね」
「いや、うん。ウサギだけれども。どうしてここにいるのかわかる?」
「わかりません、が。推測はできます」
「ふむ?」
「恐らく【野営地】スキルのレベルが上がった事による影響かと」
「やっぱそれしか考えられないよね」
わかってはいたんだよ?こんなこと起きるのはスキルレベルあがったからじゃないのかってぐらい。
というわけでステータスを確認していくか。
名前:神薙 響 年齢:16
レベル:117 → 120
STR:313 → 320
VIT:264 → 270
AGI:320 → 325
DEX:1350 → 1420
INT:8
MND:23
≪スキル≫
<ユニーク>【GunSHOP】Lv:9
<上級>【空間庫】Lv:9 → 10
<スキルリンク>【野営地】Lv:7 → 8
<極級>【射撃】Lv:6 → 7
<上級>【銃術】Lv:9
<上級>【堅忍不抜】Lv:─
<上級>【気配感知】Lv:10
<中級>【遠目】Lv:─
<スキルリンク>【イーグルアイ】Lv:10
<ユニーク>【風読み】Lv:─
<上級>【計算】Lv:8 → 9
<上級>【体術】Lv:8 → 9
<ユニーク>【制御:機械種マギア】Lv:─
<スキルリンク>【格納庫】Lv:─
<上級>【水中呼吸】Lv:3
<上級>【整備技術】Lv:5 → 8
<初級>【操縦】Lv:2 → 5
<スキルリンク>【機工士】Lv:─
レベルとステータスはまぁいいとして、やっぱり【野営地】スキルのレベルが上がっていたか。
基本的にステータスの確認とかはダンジョン探索とかが終わった後に行う用意している、理由としては探索途中にスキルレベルが上がったとして新しいスキルアーツとか覚えたとしよう。
ダンジョン探索途中に覚えたてのスキルアーツをいきなりぶっ放したりするのは俺の好みじゃない、探索者の中には覚えたらすぐ使うって人もいるだろうけれど少なくとも俺はそうじゃない。
だからダンジョン探索途中にステータス確認する意味って俺からすればあまりなくていつもしていない。
攻撃系じゃない、【気配感知】とか【空間庫】とかはスキルレベルが上がったとしても使い勝手が変わるわけでもないし気にしていないから関係ないし。
まぁとにかくそう言うわけで今みたいによっぽどのことが無ければ探索途中にステータスを確認したりしない。
「ヘレナ、ドローンを飛ばして【野営地】内を調べてくれるか?出てきているのがウサギだけなのか気になる」
「はい」
【格納庫】からドローンを呼び出しつつヘレナへとお願いしておく。
目の前にいるのはウサギだがもしかしたら【野営地】内に他の動物がいる可能性もある、それが草食か肉食か分からないが調べない事には安心できない。
出てくるやつによっては何かしら対策を考えないといけないからな。
「後、【野営地】内の広さもついでに調べておいて欲しい」
「了解」
自分のスキルなのに広さを把握していないのかって?
もちろん、把握していない。
【野営地】スキルはレベルが上がっていくとどんどんと敷地が広くなっていったのだが、その広さが1キロを超えたあたりから調べるのをやめた。
俺が普段【野営地】内で使用しているのは中心の直径200~300メートルの中ぐらいでそれ以上は手を付けていない。
建物を沢山建てるわけでもないし、射撃訓練もそんな長距離の物は使用しない。
スナイパーライフルの訓練の時は的をドローンで運んでもらい、射撃が終わった後もドローンに回収を頼んでいるので遠くに行くことが無い。
そういった理由から広さを確認するのをやめていた。
「やけに警戒心のないウサギだな?」
【空間庫】から取り出したキャベツを一枚ちぎり、ウサギが食べるかな?と差し出してみると警戒心ゼロで近づいてきてキャベツをもっしゃもしゃ食べ始めた。
野良のウサギならありえ無さそうな警戒心の無さだ、とは言っても実際に野良ウサギに出会った事なんてないから想像でしかないが。
「おぉ………ふわっふわだ……」
あまりに無警戒なのでそっと撫でてみたのだが逃げることなく大人しくしている、そしてものすごくふわふわな触り心地をしている。
ここまでくるともう明らかにおかしいとは思う、手入れもされていないウサギがこんなに触り心地がいいはずがない。
「マスター、調査が終わりました」
「おぅ、どうだった?」
「はい、まずは【野営地】の範囲ですが半径5キロになっていました」
「おー、結構広がってたんだな」
【野営地】の景色はどこまでも続く平原なので広くなっていたとしてもあまり実感がないんだよな。
範囲外は全て真っ黒の背景になるとかならわかりやすかったんだろうけれど。
「続いて動物ですが、ここの他に7匹ほどがいました」
「思ったより少ないな」
直径10キロの範囲にウサギが目の前にいるのも含めて全部で8匹というのは少ない気がする。
「それにしてもウサギしかいないのか、スキルレベルがあがると出現する数が増えるのか種類が増えるのか。それとも時間が経てば増えるのか………数日様子をみるか」
「はい、それではドローンで【野営地】内の監視をしたいとおもいます」
「うん、頼む」
もしかしたら時間経過で他の動物が出てくるとかもあるかもしれないしな。
◇ ◇ ◇ ◇
【野営地】にウサギが出現してから2週間ほどが経った、【カストラ】ダンジョンの調査は順調で後1週間ほどあれば全て完了するだろうと言うところまできた。
そしていま俺の中で最も熱い話題である【野営地】の動物問題だが。
もったいぶっても仕方ないので結果から言うと他の動物も出てきた。
出現した動物はウサギに小鳥ぐらいの鳥、それに猫と犬だ。
どういった理由で出てくる動物が決まっているのか分からないが少なくとも危険性は無さそうだ。
相手は動物なんだし性格によっては危険そうに見えるが実際はそんな事も無く、出てくる動物の全てが温厚な性格をしているのか特に危ない感じはない。
【野営地】にやってくる動物はウサギ鳥猫犬の4種類だがその4種類の中でもさらに細かい種類がある。
残念なことにウサギや鳥の種類には詳しくないので見た目が違うな、ぐらいの区別しかつかないのだが猫と犬はちょっとだけわかる。
まぁそのちょっとだけわかるのほんの少しだけだから基本的にはヘレナにあの種類は何て言う名前なの?と聞いているが。
やってくる動物は色々といて全てが別の個体なのかな?と最初は思っていたが少し経ってから、アレ?あの猫ってこの間も来てなかったっけ?って言う具合に同じ個体っぽい動物が来ることもある。
基本的には俺が拠点を構えている場所へやってきては通り過ぎるやつとちょっと立ち止まって餌をねだるやつと少しの間拠点でゆっくりしていて気がつくといなくなっているやつなど色んなタイプがいたのだが、つい先日なんといつくやつが出てきた。
最初に見かけた白いウサギと茶色いウサギ、鳥は文鳥で灰色の体に顔は黒と白に分かれているやつだ。
猫はメインクーンという種類のやつに犬はコーギーという種類のやつが拠点にとどまるようになった。
まだいつくようになって数日なので様子見だがこのままどこかに行かないようなら過ごしやすい環境を作るのもいいかなと思っている。
何より癒される、アニマルセラピーという言葉は知っていたが実際に効果があるとはあまり思っていなかった口だがこうやって体感してみると事実なんだなと思うようになった。
何よりスキルの影響なのか何だか知らないが【野営地】にくる動物は温厚で人懐っこく愛嬌がある。
【野営地】のスキルレベルはまだ上がりそうなんだが、上がったらまた別の動物がきたりするんだろうか?少しの期待とやばいのがこないかなという不安もある。
「動物用の餌とか買うか………」
【GunSHOP】スキルで銃無双 カロ。 @kenzii
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。【GunSHOP】スキルで銃無双の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます