第4話

         たった一言

「好きやねん」

短いたった一言を、あんたに伝えられへんなんて

おかしいやろ?

でもな

この言葉にはたくさんの想いがつまっとる

あんたが好きやってウチの気持ちがつまっとる

せやから

なかなか伝えられへんの

1人の時は口に出せるのに

あんたの前ではよう言えへん

かわりにイケズばっかりゆうてしまう

悪さばっかしてしまう

ごめんな

ほんまはあんたが誰より好きやのに

大声出して叫びたい位好きやのに

友達ゆうん関係まで壊してしまうんやないかって

こわぁて、こわぁて不安になるんよ

イケズばっかりゆうウチを嫌いにならんといて

必ずあんたにこの気持ち伝えるから

それまでちゃんと待っといて

あんた一途のウチやから

今まで想った分、気持ちをいっぱい渡すつもりや

ちゃんと覚悟しといてね

ウチも女や!恋する乙女は世界一強いんやで

ウジウジするんはもう止めたっ、性に合わん!

ほんまのウチの気持ち、知って欲しいもん

せやから

今日の放課後、下駄箱のところで待ってます

伝えたい事はいっぱいあるんやけど

そこは

ひとまず置いといて

まずは、絶対

この言葉からいわなあかん

あんな…

「あんだが、メッチャ好きやねん‼︎」



         つないだ手

「ほらっ」って差し出されるあなたの右手

照れたけど、おそるおそる握ってみたよ

強く握られた手をあなたを想って握り返した

「あったかいね」

そう呟いてうつむいた私の顔は真っ赤だったんだ

それを知ってたのかな?

あなたは乱暴に自分のコートのポケットに

つないだ手を入れたっけ

嬉しくて、泣きそうになっちゃった

はにかんだあなたの笑顔を見て思ったよ

あなたも今の私と同じ気持ちなんだね

ずっとこの手をつないで歩きたいなぁ…

つないだ手が温かいのと同じ位

心もあったかい

あなたの心もあったかくなってるかな?

一緒に同じ気持ちを共有したいね

できたら良いのに

「これからもずっと手をつなごう」

あなたの言葉に

私は小さく「うん」と頷いた

二人で手をつないだら、どんなに離れても

お互い隣同士並んで歩けるよ

歩こう

あなたが好きだから

もっともっと大好きになっちゃうから

この気持ちは本当だって知ってもらいたいから

もう一度強く握り返した

この想いがあなたに伝わりますようにと

願いを込めて

この手が決して離れませんようにと

祈りながら

「手をつなごう」

その言葉を合言葉にしようよ

二人だけが分かる合言葉

そして今日も

二人だけの合言葉で

つないだ手と心があったかくてなって

あなたを想う気持ちがふくらんでく

「あったかいね」

「うん」















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