いとし、いとし、というココロ

立花万葉

第1話

       私が好きになった人へ

あなたは、私に『恋』を教えてくれた。初めて知った『恋』する気持ち…。『恋』は彼を求める度に私を醜く変えていった。嫉妬、誤解、気持ちと裏腹な暴言、そして不安。知りたくなかったもう一人の私

…。素直に自分の気持ちが言えなくて、伝える術を知らなくて、いっぱいいっぱい彼を傷つけた。

大好きなのに、側に居て欲しいのに。いつも笑ってて欲しかったのに…。彼の笑顔が一番好きだったの

になぁ。ずっと、隣りで笑ってて欲しかったのになぁ。私が怒るといつも困った顔してたよね?本当はね大好きな笑顔でずっと居てもらいたかったんだよ

。困らせたかった訳じゃないんだ。

素直になれなかったんだよ…。「大好き」って一言が照れくさくて言えなかっただけ。

素直になれば良かったな…。大きな声で「大好き」って叫べば良かったな…。

彼が言ってくれた「好きだよ」の言葉をもっと大切にすれば、信じれば失う事は無かった。

でもね、自信が無かったんだ。あなたの隣りな私が居て良かったのかなって…。

人ごみで彼の姿を見つける度ひ私の心は今にも駆け出しちゃいそうな程ドキドキしてた。

周りの人が見えなくなる位、彼が息を切らして走ってくる姿を一番に見つめていたんだ…。

泣きたくなる位、安心したんだよ。迷子の子供が母親を見つけたみたいにさ。安心した。

その気持ちをちゃんと言葉にすれば良かったのにね

。出てくる言葉は責める汚い暴言。

その日の夜はいつも自分に腹が立ったっけ。嫌われたらどうしようって怖かった…。


彼に『恋』してから私は弱虫になった。あなたを想って涙を流す事を覚えた…。

誰かを想って涙を流すのがこんなに辛くて、苦しくて、切ないなんて知らなかったよ。

醜い自分になりたくなかったな…。

どうして『恋』なんて知っちゃったのかな…?

人を好きになる事、知らないままだったら良かった

。そしたら強いままの私でいられたはずなのに。独りで歩く道が淋しいなんて思わないのに…。


最後まで困った顔見たくなかったのになぁ。笑ってて欲しかった。ずっと笑顔で…。


あなたが好きになってくれた私にもっと自信を持つべきだったね。怖がらず素直になれば、今も後悔しないですんだのに。臆病になりすぎた。強がりすぎた。弱かったんだ私。


喧嘩しても謝るのはいつも彼からだったよね。悪いのはいつも私の方だったのに。

「ごめん」の一言がどうしても言えなくて…泣いた


素直に謝りたくて何度も携帯のボタンを押そうととして止めた。別れの言葉を聞くんじゃないかってすごく怖かった…。そしてまた泣いた。


卑怯だね、私。謝るあなたの声を聴いて安心してたのに私から謝れなかった。

たった一度も…。

「ごめんね…」

こんな簡単な言葉がどうしてあの時言えなかったんだろう?

今ならいくらでも言えるのに、どうしてあの時は言わなかったんだろう?

彼の事、すごく好きだったのに。大好きなのに。


今更だけど「ごめん、大好き」…

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