愛ある故に愛を拒んだ亡国の姫の美しくも運命的なラブストーリー

これは突然の軍事侵略によりすべてを失った王女が辿る数奇かつ愛のある運命の物語。

主人公「キアラ」は伯爵家の養女として、かつての敵国で静かに日々を過ごしています。

物語は、キアラが陛下の妃候補として王宮に出向くことから始まります。彼女は内心では断固として拒否していますが、育ててくれた養母への恩義から、心を隠して王宮に出向くことを決意。

見所は、亡国の姫と若き国王、心に秘密を抱えた二人をめぐる恋の物語で、よくある溺愛では収まらない奥行きがあり、戦争に巻き込まれた者たちの戦後の心の在り様を描く人間ドラマでもあります。

特に、健気で芯の強いヒロイン・キアラが、過去や感情に向き合い、成長する姿が描かれ、その中で明らかになるキアラの両親を討ち取った人物の正体や、その人物を討ち取った者が伏線にもなっている事実など、謎が解き明かされる瞬間も見所の一つ。

そして最後の秘密。愛ある故に愛を拒んだその訳を知り、単なるツンデレ物語とは一線を画すものとして読者は感動を覚える事でしょう。

この物語は、恋愛要素と人間ドラマが融合した非常に魅力的な作品で、とてもお勧めしたくなる逸品です。

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