高校生が異世界で職業体験。労働は世界と自分を変える。

とある私立高校の女教師・木下花子の正体は、異世界の魔女キャロリシアだった。彼女は生徒に人生経験を積ませるため、生徒たちの魂を異世界へと送りこんだ。生徒たちはメイドや女王、勇者、魔王、聖女など、様々な職業の人間に憑依して仕事に取り組むことに……。現代の高校生たちが異世界を変えていく群像劇ファンタジーです。

 物語は突然剣と魔法のファンタジー世界に飛ばされた高校生たちを中心に展開します。そこは平和な日本とは違い、身分制度が厳しかったり、危険な魔物がいたり、使命を背負わされたりと不自由で過酷な社会。

 生徒たちは現地の人々の身体を間借りしながら、異世界での職業体験を通じて過去の後悔やトラウマを克服するきっかけを掴んでいく。

 また、異世界人たちにも葛藤や苦悩があり、生徒の視点や助言を得て、お互いに励ましあって困難を乗り越えていく成長物語に心を打たれます。

 彼らの一人ひとりの行動は些細なものですが、次第に繋がって大きな変化をもたらし、勇者と魔王の因縁や国同士の外交にも影響を与えていく。

 働くということは社会に関わること。経験を積み成長すること。働くことの意味や目的を考えさせる、労働の大切さを教えてくれる作品です。


(「異世界で働こう」4選/文=愛咲 優詩)