カップ麺 ナルトのフリした カタツムリ

長月瓦礫

カップ麺 ナルトのフリした カタツムリ


それは、深夜の散歩で起きた出来事です。

なぜか眠れなかったので、外を歩くことにしたんです。

23時過ぎぐらいだったように思います。


その日はずっと雨が降っていたからか、いたるところにカタツムリがいました。

殻を重そうに引きずるカタツムリを横目に夜道をふらふら歩いていると、駅前のコンビニに足を止めました。


やる気のなさそうな店員がゆるい雰囲気でやっているのがなんとなく好きで、私の足は自然と店内へ向かいました。


棚をあれこれと物色していると、カップ麺を見つけました。

パッケージを見た瞬間、ジャンクフード特有の濃い味が口の中を支配しました。

腹の虫がわずかに鳴いたのを聞いて、私はレジへ向かいました。


会計を済ませると、カタツムリがよれよれと店の壁を這っていました。


帰り道のことです。すれ違ったサラリーマンがいきなり緑と白のボーダー柄に変色し始めたと思ったら、上空から滑り込んできた大きな黒い布のような何かにさらわれてしまったのです。その姿は夜空に紛れ、直前まで何も見えませんでした。


それが鳥であることに気がついたのは、わずかにバサバサという音が聞こえたからでした。成人男性を連れ去るだけの大きな鳥、にわかには信じがたいことですが、鳴き声や羽ばたく音はせずとも、暗黒の夜空を舞う怪鳥の気配を肌に感じるのです。


私はできるだけ静かにその場を立ち去り、家に帰りました。

怪鳥が追いかけてこないことを確認すると、さっそくカップ麺を開けました。

ケトルのスイッチを入れ、白い湯気に心を躍らせておりました。




その時、私はまるで気がつかなかったのだ。

密閉されているはずのカップ麺、様々な具材の中に時計回りに渦を巻いた小さな殻が紛れていたことを。

窓の向こうで懐中電灯のような両目が私をじいっと見つめていることも。


私は何も気づかなかった。

私はカップ麺に熱湯を注ぎ、三分待ってから、美味しく食べた。

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カップ麺 ナルトのフリした カタツムリ 長月瓦礫 @debrisbottle00

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