謎めいた少女のイリュリチカ。彼女の瞳からは逃れられない。

どこか露国を思わせる壮大な世界観を匂わせながら、あえて情報を細かに『出さない』ことで読者の創造力を欠き立たせる物語です。
お上手、お見事としか言い様がない。

精緻な筆力で書かれた地の文、美味しそうな食事描写、一捻りされている展開。

お茶と共にイリュリチカと共に旅をした、そんな気分にさせてくれます。

彼女には何があるのか、過去に何をしてきたのか、全く明らかになってはいないけれど、それらを気にさせない魅力が彼女にはあります。

お茶と茶菓子を嗜みつつ、静かでゆったりとした空間に浸って下さい。

その他のおすすめレビュー

実緒屋おみ/忌み子の姫〜5月発売決定さんの他のおすすめレビュー34