旅する物語に、浸る喜び

異世界を走る大陸横断列車という魅力的な設定に、まず心をつかまれました。車窓の景色が変化し、新たな乗客が乗っては降りていく。その乗客の素性や目的地を少女イリュリチカが考える過程が、謎解きのようで楽しいですね。

客室の描写やイリュリチカが食堂車で食べる料理のディテールにも、想像力が刺激されます。さまざまな街を通り、さまざまな人の思いに触れ、行き着いた終着駅で見えた景色は——。物語に浸る喜びが味わえる作品でした。

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