女好き悪役令嬢が西洋後宮で暗躍する、華も毒もある独創的なミステリー

西洋の貴族社会×後宮×百合×謎解き。ありそうでなかった組み合わせが光る作品です。後宮も百合も謎解きも大好きなわたしはどっぷりハマりました。他にはない独創的な物語を読みたい方にお勧めです。

何といっても個性あふれるキャラクターが魅力です。主人公アンネリーゼは王子の寵姫で、鋭い知性と美貌の持ち主。ただし美しい女性への劣情と悪だくみを隠そうともしない悪役令嬢(あえてそう言いたい)です。

そんな主人公に、護衛でありながら主人へのリスペクトが皆無な女性スターガイザーや、アンネリーゼが口説き落とそうと狙う高慢なザリアニーナなど、癖のある面々が絡みます。

物語は、ある女性が毒入りクッキーを食べて倒れた事件を軸に進みます。その女性への下心を原動力に謎解きに挑むアンネリーゼの意外にも?ロジカルな名探偵っぷりが見もの。「賢いヒロイン」コンテスト応募作品というのも納得です。

文章も構成もしっかりしていて小説としての完成度が高く、安心して物語世界に浸れる良作です。