このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（572文字）

ものすごく引き込まれる作品でした。セリフは少ないものの地の文が非っっ常に綺麗で、全く気になりません。彼女たちの機微が、ガタンゴトンと音を立てながらゆっくりとこちらの心に染み渡ります。めっちゃ良かったです。食事の表現もとても繊細で、登場人物たちの一言一言に聞き入ってしまいました。読み進める度に「うわあ」って言いたくなるような、新しい風景に感激しながら読める作品でした。

車窓から見える見知らぬ景色に、同乗者との一期一会の交流。そして旅行先での美味しいお料理！
本作は旅行の醍醐味が詰まった素敵な物語となっています。

主人公イリュリチカは観察力が鋭く、どんな乗客の素性も筋道立てて解明していきます。
解明するだけでなく、乗客の事情に合わせて優しくも厳しい言葉をかけてくれます。
静かに人を思いやることのできる、凛とした美しさが彼女の魅力だと思いました。
私は特に第二区間のお話が好きです。

終始、ゆったりとした列車の旅が続きますが……最後には驚きの結末が待っています。

あなたも不思議な列車の旅に出てみませんか？

文字通り、ものを語る旅路。
美しい情景も、それぞれの心情も、そして何より主人公の姿が凛として浮かぶ、
とてもとても美しい作品でした。

もっと続きを・・・と思いつつ、ああ、これは旅路なんだなと。
「物語」と「旅」を、こんなに愛し、交わらせた物語は、稀有です。

読み始めは「どんな感じで進行していくんだろう」と思っていましたが、１ページごとの個性的な登場人物がこの旅を彩ってとても面白かったです。
次はどんな人が出て来るんだろう、とワクワクしながら読んでいました。
気付けばそこは降車駅。
私にとっては短いけれど、中身の濃ゆい素敵な旅路でした。

冒頭から独特な世界観に引き込まれて、最後までスルッと読めてしまいました！

また丁寧で分かりやすく、主人公の旅の様子が思い描けました！

それと人間観察をする主人公が、出会いと別れを楽しむ姿もとても印象的でした。

最後は個人的にですが、少しドキッとする終わり方でした！笑

これからの活動も応援しております！

異世界を走る大陸横断列車という魅力的な設定に、まず心をつかまれました。車窓の景色が変化し、新たな乗客が乗っては降りていく。その乗客の素性や目的地を少女イリュリチカが考える過程が、謎解きのようで楽しいですね。

客室の描写やイリュリチカが食堂車で食べる料理のディテールにも、想像力が刺激されます。さまざまな街を通り、さまざまな人の思いに触れ、行き着いた終着駅で見えた景色は——。物語に浸る喜びが味わえる作品でした。

一人の少女とともに、出かけてみませんか？
物語を読む旅へ。

細かく練られた世界観、それを彩る繊細な描写。
それがこのお話の魅力です。
旅をする少女イリュリチカ。言葉少ない落ち着いた性格ですが、相席となった乗客に対し、大きな影響力を与える人物です。
物語を動かしていくような主人公ではなく、ストーリーテラーのような立ち位置ですね。

人にはそれぞれ過去があり、それが物語となる。それをしっとりと美しく描いたお話です。
この世界観に浸ってみませんか？

大陸横断鉄道に乗るイリュリチカ。鉄道に乗り合わせる人々は、それぞれの背景を持ち、それぞれの目的に向かって鉄道に乗る。

主人公の鋭い洞察力で、目の前に乗り合わせた人々がどんな人物か、何を目的にしているのかを一緒に探っていくのが楽しく、また、自分も長い鉄道の旅に揺られているような気分になる、そんな作品。

主人公はこれから先、どんな人物に出会っていくのか、主人公自身が目指す先はどこなのか。

ゆったりと揺られる鉄道の旅に、皆様もぜひ。