淡々とした美しい文章が、人の本性を暴き出す。

この作品を読み「親の愛ではない」と言いきれる人は幸せだと思う。

何故なら「愛」が何かを知っているから。
何故なら「毒」が何かを知っているから。

ひどい、こんなのあり得ない、可哀相、というのは簡単だ。

澄み切った文章の中、ひりつくような感情がこめられているこの作品を一言で表すのは難しい。

愛と毒は表裏一体ということがよくわかる作品で、だからこそ読むのが怖かった。

自分も誰かに「愛」を無作為にばらまいていないか。
自分も誰かに「毒」を無作為にばらまいていないか。

そんな不安を抱きながらも、続きを読むのが止まらなかった。
魅力と筆力が、それだけある作品だから。

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