私が読み間違えているのでなければ、作者さまのプロフィールには『初めての長編投稿』との記載が……。
ええ、ちょっと待って嘘でしょ?!
最新『25話 ウィンチェスター・ホール』まで拝読しましたが、『手練れの書き手』という印象しか漂ってこないんですけども?!
舞台はイギリス。
人々に災いをもたらし、地球のどこかに眠っているという神の遺物を破壊するため『殺神部隊』という秘密組織が結成されている。
そこに属する主人公の女性・アレックスと、彼女のパートナー・ハワードは、老教授が下半身だけを残して焼死した事件を追うが、背後には『楽園の使者』という、世界の破壊をもくろむグルーブの影がちらつく。
アーサー王の神話をベースに、話中のモチーフなどをヒントにして謎解きが進みますが、ダン・ブラウンのミステリーのように緻密。
イギリスの地理や歴史が丹念に調べられていて、それがいいタイミングで提示され、読んでいて知識欲が満たされ、また臨場感を抱きました。
丁寧な取材の成果をあちこちに感じて、書き手として頭が下がります。
舞台設定やモチーフ、起こっている事件を見るととても重厚なストーリーなのですが、とにかくキャラクターが素晴らしいので、彼らに惹かれて先をするする読み進めることができました。
強気で肉体派の女性・アレックスと、バディの頭脳派・ハワード。
二人の醸し出す雰囲気や皮肉めいた会話がライトで親しみが持てます。
特に、ハワード。普段はアレックスをからかったりしているのに、危なくなった時に全力で心配しているシーン(14話 油断大敵)がとてもよかったです。
また、冒頭で起こる人体発火事件。オカルトファンなのであれこれ事例が浮かぶとともに、ミステリー好きとして大変興味を引かれます。
出だしのインパクトとしては最高だと思いました。
事件の魅力と、キャラクターの魅力が相まって、この先がとても楽しみです。
キャッチコピーには『最後で明らかになる、タイトルの意味』とありますが、度肝を抜くような大展開を期待させる一作です!!
かつて実在した神々の力が宿る『遺物』を破壊し、人の世を守るため『殺神部隊』のアレックスとハワードが活躍する、上質なバディアクションものでした。
イギリスが舞台だったり女性キャラ視点で語られたりと、異世界や現代東京が舞台の作品とは違う独創性があり、非常に惹き込まれます。
文体や会話やアクションのテンポが良く、美女だけどすぐに口も手も足も出るアレックスと、知識量が豊富だけど鼻にかけるハワードの二人組が魅力的でした。凸凹であるように見えて、凹凸ピッタリ歯車が噛み合っているナイスコンビです。
謎解き要素もあり、定番のアーサー王伝説を下地に歴史や事件の真相に迫っていくサスペンス要素も、今後のワクワク感を引き立ててくれています。
洋画的な雰囲気でありながら会話やアクションはライトファンタジー風、ラノベっぽいけど映画を観ているようでもある……と、一粒で二度美味しい、実に満足感を味わえる内容でした。
とはいえ映画で言えば、まだまだ開始10~20分くらいでしょう。今後どのような展開が待ち受けているのか、期待を込めて星2とさせて頂きました。