ついていきます、お嬢さまっ!

これは刺さる。なんだろう。踏まれたい。お嬢さまに、早速。ただちに。

本作については事前に、プロモーション短編として別のおはなしが示されています。作者さまの小説一覧からぜひ、そのお話も見つけていただきたいとおもいます。たんなる予告というだけでなく、きっと作者さまがこの一連のものがたりで目指されているものを、上手に感じ取る一助になるのでは、とおもいます。

さて、わたしはその短編のなかですでにミリスお嬢さまには一度、やられています。いますので、免疫ついてるはず。であるのに。むしろ逆。そっか。中毒、か……。

作者さまは、細やかな心情を掬いあげるような、繊細で緻密で、むねの奥におりて気持ちの破片をひろいあげるようなこころと場面の描写を得意とされています。

一方で、これはもしかすると作者さまにお叱りを受けるかもしれませんが、リミッターを意図的にはずそうとされたときの可笑しさ、愛らしさ、なんというか、たとえばちょっと刺激的なことばをつかったりしたときでも、けっして嫌なかんじがしない温かさ、そういうのがとても上手で、そして魅力的な書き手さまだとおもっています。

その温かさをもって、描かれる、突き抜けたお嬢さま。
ぶんぶん周囲をふりまわし、蹴りたおしながら、突き進む、ミリスさま。

ついていきます。なんとか、必死に。
その愛らしい微笑みをうけながら、背中をげしげし、蹴られながら。

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