ふつうに、映画化希望で。

作者さまはどんな恋愛をしてきたんだろう? とは、以前のレビューでも書かせていただいたところです。これは、この話はなかなか、かけない。

引き出しっていう言い方は間違いなく不適切ですが、作家といえども結局、じぶんの引き出しにはいっていないものは、だせない。だせるはずがない。

ないものを出せるとすればそれは天才ですが(いえ、作者はほんとうに天才なのかもしれませんが)、恋愛って、だれかを好きとか嫌いっていうだけで、もうとんでもなく気持ちの分子がうごくものだと思うんです。分子は、もちろん膨大で、ぜんぶ好き勝手に動く。そんなものを想像して自由気ままに動かせる人間が、そういるわけもない。

よって、普通に考えれば、作者さまはもうめっちゃくちゃいろんなお相手と北極から南極に跳ぶような恋愛を、重ねたの? となってしまうのです。

そういう、すき、きらいの両極端がいちにち数百回往復するような機微を表現した本作、小説のわくに収めておくのがもったいない。ドラマ化……いや、映画化、ですね。