おっさん、美少女に憑依する。

敏腕刑事である獅子王38歳男性が、因縁ある犯人を追撃中、屋上から落下して……目が覚めると中華王朝の姫になっていた!?

しかも後宮で側室の身分。へんちくりんな下衆王の側室ってわけでなく、なかなか良い条件の殿方の側室なので、そんな悪くない……なんていうのは女性視点なのでしょう。だって中身男性ですからね。異性愛者ですし、それが男の側室という身分は万が一の状況も想定して焦りも生じるというものです。ちやほやされても困る、女性陣の寵愛バトルに巻き込まれるのも困るわけでして。

また憑依したお姫さんがとってもキュート。美少女十七歳。そして可愛い声をしているので、いくらドスのきいたセリフを吐こうとも、ちっとも怖くありません。可愛いしかない。これはアニメ化してめちゃくちゃ可愛い声で演じてもらいたいところ。笑

と、それだけでも大変な状況下に身を投じた獅子王なのですが、さらに事態は悪化します。事件、シリアルキラーが動き出すのです。悲惨な現場に直面し、捜査してみれば、因縁ある例の犯人と手口が同じ。まさかあいつもおれと一緒にこっちの世界に来ているのか、と勘繰る獅子王。

事件を追い、後宮で活躍していく獅子王。しかし憑依したものの、身体の持ち主である姫の意識も消えているわけでなく同居している状況で、乙女の恋心と敏腕刑事の自分との感情で葛藤することも。基本、獅子王がユーモアある人なので、まずい状況でもコミカルに切り抜けようとするのですが、一転、姫の心情はシリアスで悲哀に満ちています。

そして迎える結末。とっても幻想的で美しい愛の姿が描いてありました。一方で、また違う、こちらはいびつとも呼べそうですが、そんな愛も存在していて。
完結済です。ミステリ仕立てですし、犯人予測をしながらの一気読みもおすすめです。

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