if ~石油の枯れた世界~
大隅 スミヲ
if ~石油の枯れた世界~
石油が枯渇して10年という月日が流れていた。
車はすべて電気で走るものとなり、空を飛ぶのは飛行船や気球が主流となっている。
石油の枯渇は人々の生活をガラリと変えてしまった。
いままで多くの飲料などを保存するために使われていたペットボトルも、その姿を消したひとつだった。
プラスチックの材料も石油なのだ。
いまでは、多くの飲料などがガラス瓶に入って売られている。
持ち運びには少々重かったりもするが、こっちの方が味があるという人も多いようだ。
プラスチックで再生可能なものは、再生したプラスチックとして使われているが、いまでは高値が付き、高級品にだけ使われるようになっていた。
まさか、石油が枯れてしまうとはね。
老人たちは、みな口をそろえて言う。
何年にもわたり警鐘を繰り返していた自然学者は、あれほど言っていたのに耳を貸さなかったじゃないかと言う。
石油で財を成していた中東の各国は貧困にあえぐかと思われていたが、今度は太陽熱発電で財を築きはじめている。彼らは、転んでもただでは起きないようだ。
「パパの子どものころはペットボトルに入った水を飲んでいたんだぞ」
博物館の展示の前で若い父親が幼いこどもに対して説明をしている。
こどもはアイスキャンディをぺろぺろと舐めながら、ガラスケースの中に入れられた500mlのペットボトルを真剣なまなざしで見つめていた。
if ~石油の枯れた世界~ 大隅 スミヲ @smee
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます