6.3

 だが、彼女達が作っている輪は、かわいらしいパステルカラーではない。ブルー系とダーク系の、あらゆる意味で重そうな、厚みのある輪だ。

 ヤバい女子大生たちは、ヤバい部屋に集い、ヤバい夢を語りながらヤバい食物を食す。

 ヤバい平日とヤバい休日を共に過ごし、ヤバい匂いを発し、ヤバい歌を歌い、ヤバいダンスを踊る。

 しかし、ヤバいから何だと言うのだろう。

 それに、ヤバくない人とは、どのような人のことを言うのか。

 誰だって人のヤバいところは分かっても、自分のヤバいところは分からない。

 結局、生きていればみんなヤバい部分があるものなのだし、時にはそのどこかの誰かのヤバい部分が、文明の発展に貢献した。

 過去の偉人達が、揃いも揃ってヤバい人だったことは、みんなが知っている。

 それと比べたら、彼女達は全然ヤバくなんかない。

 むしろ、たまにつまらないと思うほど常識的ですらある。彼女達はもっとヤバくなってもいいかもしれない。

「じゃあ、改めまして、芽衣ちゃんお誕生日おめでとう~!」

「乾杯~」

「おめでとう」

「おめでとう」

「ありがとう」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

彼女らは、むさ苦しい大学生につき サビイみぎわくろぶっち @sabby

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ