まるでこれは、ノンストップの映画だ。

小学生(中学生?)のときに読んだまま読み返すことのない小説、というのはよくあります。話の内容はわかっているし、当時は道徳的な匂いのするものは繰り返し読む、ということはありません。
今回カクヨム近代文学館のひとつに「走れメロス」が収録され、ちょっとした空き時間に一気にいけるかな、と思い、たいした思い入れもなく読み出しました。
素晴らしかった。まさに走り切った。気の迷い、誘惑、障害、さまざまな困難が登場し、あやうく飲み込まれそうになりながらも、ゴールに達するさまは、まるで映画を見ているような気持ちになりました。
あれ? こんなに面白かったっけ? 
小さい頃に読んで、筋を覚えている話、というのは、実はすごく面白いものなのではないか? だって、筋も覚えていない話は無数にあるのだから。

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