熱狂の中で一際輝く静謐。そして悔恨。

静謐。この作品を二文字で表すならそうなる。
この小説は「トロピカル因習アイランド」などという、アホと陽気で出来たようなワードをネタ元にしながら、しかし内容は静かで、丁寧で、端麗だ。
トロピカル因習アイランドの熱狂とは裏腹に、しんしんと降り積もる雪のように静かな語り口で、言葉と後悔が積みあがる。その対比、そして昇華としてのトロピカル因習アイランド。このアプローチは意外でありながら、実際非常に美しく完成されている。
トンチキワードから生まれたとは思えないほど、静謐で美麗なこの作品。是非一読をお勧めしたい。

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