精霊と人間を繋ぐ霊的ネットワーク「アストラネット」。一部の特権階級の独占から遍く人々に行き渡り、「霊術」へと名を変えた魔法。そして、世界を変革しうる力を持つという秘宝「五大神秘」。王道ファンタジー世界をベースに、サイバーパンクじみた情報化社会が構築された重厚な「近未来風」異世界。そんなワクワクさせてくれる世界観が、本作の舞台だ。
巨大な王国が倒れ技術発展と社会変革が急激に進む世界は、人と精霊たちが手を取り合って見果てぬ未来を求め、暗闇の荒野に意気揚々と冒険の旅に出る時代でもある。危険と可能性に満ちた夜を進む彼らは、まさに綺羅星の如く。
愛する人を蘇らせるために混沌と混乱を引き起こすことも辞さない無法の剣士「黒き剣」と、「契約者殺し」の精霊――「凶星」。
人々の穏やかな日々を守るため日々奮闘する、基本の術式を極めた最強の警察官――「極星」。
民草を思うからこそ旧き時代に幕を引かんとする最後の王女と、その心意気に惚れた巨躯の戦霊――「亡星」。
そして異界より到来せし異端の青年と、彼をバックアップし利用する大企業の社長――「異星」。
各々の目的を持つ彼らは混じり合い、そして衝突し、時に手を取る。その衝突、その化学反応こそが群像劇である本作の魅力である。
2025年5月末現在、第二幕「蒼天再誕戦線」が幕を引き、一旦の完結となっているが、この夜の世界はまだまだ広く、喜ばしいことに作者さんも続きを書く意欲があると言う。続きが来るのを楽しみに待つばかりだ。
あなたにも是非、この素敵な夜の世界で魅力的な綺羅星たちが紡ぐ鮮やかな星図の数々を目に焼き付けて欲しい。
序章までを読んでの感想です。設定モリモリで、中二心がくすぐられる独特な世界観です。冒頭でさっそく、あくまでも例えですが「人間と精霊のマッチングアプリ」という語句が出てきて、この作品は何か違うなと予感させてくれましたが、その通りでした。
横文字のルビを振った漢字!含みのあるキャラクターの掛け合い!何かしらから引用した専門用語!2010年以降の中二系ノベルゲームの雰囲気をビリビリと感じて、とても楽しい読書体験でした。
ストーリーについてですが、群像劇とある通り、第一章の内でも様々な主役級の人物が現れ、彼らの視点が次々に描かれて世界観が広がっていきます。
第三話の書き出しの一文だけでも読んで、もし「かっこいい」と思ったのなら、貴方のセンスは間違っていません。ぜひ読まれてみてください。