3人寄れば文殊の知恵

@iyomikan1220

第1話チートって何?美味しいの?

1543年4月25日












目を開けば、いつもの天井でもあり初めてみたような気もする。








布団から体を起こし周りを見渡すとやはり同じ感覚をうける。




時間は昼頃だろうか?




自分の名前は憶えている。偏諱を受け河野通政から河野晴通になったのだ。




だが、おかしい事に約500年先の未来での知識や思い出も確かにあるのだから、おかしなことだと思う。




まだ気怠さもあるので深く考えるのは後にして水が飲みたいと思い人を呼ぶ




「誰か居らぬか?」








「晴通様!目覚めましたか!!」








すぐ近くに居たであろう男からの返事が聞こえてきたと思ったら急ぎ部屋に入ってきた。




覚えている。垣生盛周はぶ もりちかで奉行職の1人だ。その垣生氏が居るっていう事は




きっと盛国(子供)に丸投げしたんだろうなぁ。頑張れ盛国!!








「ああ、まだ本調子ではないが昨日の死ぬかと思うような状態と比べたらかなり良くなっているな。取り合えず、のどが渇いたから白湯でも持ってこさせてくれないか?」








「はっ」




っと一言いうとスグに部屋を出て水を持ってきてくれて








「皆にも知らせを送る手筈をしたら私も城に戻りますので養生してくだされ。」








「そうだな、お前も早く帰らんと今度は盛国が熱を出すかもしれしな。」








「家督を継ぐ者が、この程度で熱など出されたら困ります。」








冗談なのにディスってこなくてもいいんじゃない?俺ちょっと恥ずかしくなってきたぞ!








それからは医者にも確認してもらい仕事を代行してくれていた弟の道宣みちのぶがやってきて少し話したくらいで、あっという間に日が傾き始め改めて現状を振り返る。








河野晴通であり20XX年、サラリーマンの冬。




トラックに轢かれたとか神様が~って事もなく世間的には一般的な生活で天寿を全うしたと言えるくらいの人生である。違う点で言えば人1倍、地元(愛媛)の事が好きだったくらいだ。








その知識を鵜呑みにするならば多分、昨日(天文12年4月24日)が俺の死ぬ日だったのだろう。何故、死ななかったか考えても仕方ないので放置して、この後に河野家が無くなる未来を知ってしまった方がショックが大きい。




子孫では個人の功績が多き過ぎて河野家が霞んでしまっている。




だが私が生きたことに意味があるとすれば河野家をより良くしていき後世まで河野家の名を残す事だろう。












この得た知識はかなり使えるだろう天下統一は流石に難しいのもその知識から分かるのだ。




その理由の一つに四国の石高の問題だ1598年(慶長3年)で四国全体で80万石くらいの石高だったはずなのだ、ちなみに1872年(明治5年)だと倍ぐらいになってたらしい。




加賀100万石に対して四国80万石








「ん~今から10年くらいで四国統一出来たらワンチャンあるかもだが・・・今の三好を敵に回すのか。」








現状、予州家・家臣団や国人衆は来島騒動で一致団結したことによってまとまっている。(来島除く)








「四国統一も天下も置いておき、伊予の守護大名として伊予の平定を目指すか。」








その為にも石高を上げたいな。




①農業の改革?・・・否




選別・正定植え・出穂・千歯扱ぎ・肥溜め等の名称はわかるがいつ、どこで、何を、なぜ、どのようにするのか分からん。








②関所を減らす帆別銭をさげる?・・・否




この辺の関所を減らしたり帆別銭をさげた、ところで買い付ける物も無ければ売れる者も余裕がない状態じゃあ商人はこない。




税を減らしても商売が成り立たんと意味がない。








③椎茸栽培?・・・可?




可能性はあるが江戸時代でも山を買って椎茸を求めて破産した者もいたようだ。




念の為に山を領地に持つものに見つけたら報告するようには言っておこう。








④蝋燭の開発・・・可?




ハゼの木はあるが量産できるほどは無いから、先ずは木の植林から始めようか?




大野家にやらせるか?








⑤川の治水?・・・否




戦がなくなって始めた事業たから現状では資金や他国との事もある最低でも伊予を平定後の予定だな。








⑥伊予絣の生産・・・否




綿が売るほど無いのと藍染の職人も必要になってくる。それに綿を生産していると民の食糧事情に影響が出る可能性がある。








⑦みかん・・・否




周防から買い付けなくてはならないが関係が悪化してしまっているので買い付ける金ができても商人が嫌がるだろう。








⑧地引網・・・可




魚の漁獲量のアップから魚油・魚肥・貝殻類を肥料として田畑に使える。




これは・・・来島にさせるか?来島村上氏は有能なことに間違いはない。事前に諸将への根回しをしておけば来島の信頼回復につながるかもしれん。




後は二神氏にもやってもらうか地域差があるか知りたい。








⑨ドロマイト鉱石・石灰岩・・・否




銅はいいが、それ以外は西園寺を利することになるので論外。そういえば砂鉄が東予でとれたはずだが反射炉とか無理だな名前は知っていても理論や構造がわからん。








⑩砥部焼・・・可?




製作自体は出来る。商人の誘致が必要か




試しで作って信長の茶器みたいになるかもしれんし少数は作ってみるか。








⑪中山栗・・・可?




徳川将軍に絶賛されたらしいから上手くすれば行けるかも?だがこれも商人問題だな。








⑫伊予の青石・・・否




石垣や庭石だが輸送の問題がある。








⑬一領具足・・・否




まとまめて買うには内乱で疲弊しているから、そんな余裕はない。








・・・・・は?地引網しか直ぐ出来そうな事がないだと。マジか!




増えた漁業は「おかかさん」を中心に売ろう。








何が「現代知識チート」だ使えん中途半端な知識ではないか。
















まてよ?冷静に考えれば商人がいれば、もしかしてイケるのではないか?




売る物は中山栗・砥部焼・楠の木炭・青石は小さくして磨けばお守りになる。




問題の商人か・・・。




情報収集も兼ねてやらしたいな。




信用出来て商人として一流でなくては困る。中途半端な機関だと足を引っ張られかねん。








などと苦心していたら呼んでいた垣生氏が来た。








「垣生盛周、参りました。・・・殿何かありましたか?悩んでいると顔に書いております」








「そうか?実は河野家に忍者の真似事をする、お抱え商人を作り情報収集をさせようと思っいるのだが良き人材がいないのでな」




と苦笑いを浮かべながら軽く頭をかいてみせた。すると垣生氏が








「ならば良き者を知っております村上清月むらかみ せいげつという者です。今出で商いをしておりなかなか切れ者です。お会いしますか?」








「ふむ。当ても無いし、その者に賭けよう。ただ、こちらの準備が出来てからになるが垣生氏の奉行職で出来る範囲で口利きしてくれ。その中で村上なる者を見極めていこう。」








「はっ!かしこまりました。」








「それで、本題なのだが今年から伊予川が氾濫したらどの地域にどれくらいの被害が出ているか記録を残して欲しい。そしてその地区を検地して生産、出来たものは5公5民とする上に伊予川が氾濫したらその田畑の税は免除しよう。」








「かしこまりました。新田はいつ頃始めましょうか?」








「3年後としよう」








「では、そのように執り行います。」








取り合えずその場しのぎだが遊ばせている土地もこれで多少は石高も増えるだろう。




あ!あれも頼んでみるか。




「もう一つあったのを忘れていた。千歯扱ぎと名付けているのだが、これを見てくれこの板の部分を足で押さえ数把を持ってこの歯に挟み一気に引く抜けば脱穀がかなり楽になると思わないか?」








説明されてもピンとこないのか「はあ」と生返事を返してくる。




その顔に少し笑ってしまうが「取り合えずやってみてくれ」と言えば承知してくれた。












あとは平岡氏に人を送って砥部焼と中山栗の生産に力を入れさそう




と言っても砥部焼も砥石を使うというのと真っ白な焼き物に藍色の絵を入れるという事だ。中山栗も「栗三年柿八年」というのだスグには難しいだろう。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

3人寄れば文殊の知恵 @iyomikan1220

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る