サプライズ発表
祝勝会の話題の中心は2つ。
1つはアーサーさん率いる遠征軍の活躍。
この話題の中心にはネルソン子爵がいた。
オーバー気味にアーサーさんの活躍を熱く語っていた。
もう1つはここにいない貴族のこと。
特に国王陛下の取り巻きと呼ばれる貴族たちがいない。
事情を知る者、知らぬ者。
噂が飛び交っていた。
僕はどちらの話題にも参加しませんよ。
知らない貴族と話すなんて無理だもん。
でも、次から次へと貴族が寄ってくる。
こっちは逃げているのにわらわらと寄ってくる。
僕のイメージ的にはゾンビ映画に近いかも。
パエルモ
「少しは貴族の相手が出来るようになりなさい。」
僕
「いや~、ちょっと、無理かな~。
僕に話しかけても仕方ないでしょ。」
パエルモ
「あのな、
アキラは、
国を代表する大商人であり、
私やアーサー殿下と懇意にしている重要人物なんだ。
お前に近付きたい貴族は山のようにいる。
いつもは私やアーサー殿下に配慮して、近寄らないようにしているだけで、こういう社交の場で、関係を作りたいんだ。
そろそろ慣れろ。」
僕
「は~、頑張ってみます。」
パエルモ
「私も挨拶をせねばならない相手が沢山いる。ずっとアキラの壁になってやることは出来ないんだ。
諦めて頑張るんだな。」
僕
「仕方ないですね。」
パエルモ伯爵と離れるとやはり貴族が寄ってくる。
ん?
殺気にも似た視線を感じた。
そちらを見るとバーバラ様だ。
華やかなドレスだけど、顔が怒りに満ちている。
ゲレーロの決闘事件もあって嫌われているのは理解しているけど、表面上は隠してほしい。
・
・
・
退屈だ。
早く終わらないかな~。
そんなことを考えていると、
エドワルド
「静粛に!」
会場が静かになる。
エドワルド
「ここで皆に報告したいことがある。
アーサーのことだ。」
注目がアーサーさんに集まる。
エドワルド
「アーサーは連合軍をまとめあげ、魔王討伐の偉業をなした。
その名声は世界にとどろいている。
誠に喜ばしいことだ。
そして、リズムリア王国として、
世界的な名声を得たアーサーが国王になることが国益になると考えている。」
ざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわ
エドワルド
「私、エドワルドは、
アーサーに王位を譲ることにした。」
ざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわ
エドワルド
「当然、アーサーの戴冠式には各国を招待することになる。
準備期間は相当かかるだろう。
私が国王として行う、最後の仕事だ。
盛大に執り行う。」
ざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわ
エドワルド
「王位を譲った後は、田舎でゆっくりさせてもらうつもりだ。
アーサー、
国を任せたい。
受けてくれるか?」
全員の視線がアーサーさんに集まる。
アーサー
「承知致しました。
リズムリア王国の発展にこの命を捧げます。」
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拍手する者、
状況を探る者、
不快感を顕にする者。
反応は様々だ。
エドワルド陛下に詰め寄ったのはバーバラ様だ。
バーバラ
「どうして、このような発表を!」
エドワルド
「バーバラ、、、」
バーバラ
「私は、」
エドワルド
「言うな!
それ以上、口にしてはならん。
これは国王である私の決定だ。
よいな。」
バーバラ様はエドワルド陛下に言葉を遮られ、口をつぐむ。
公の場で、国王の決定を正面から批判するようなことは許されない。
ましてや、バーバラ様は微妙な立場なのだ。
本来は斬首されるところをエドワルド陛下が王位を自分から譲ることで助命されているに過ぎない。
これ以上の失点があれば助命は叶わなくなる。
政治的な感覚に疎いバーバラ様は何もわかっていない。だが、夫であるエドワルド陛下の様子に感じるところはあったようだ。
それ以降は静かにしていた。
この発表後、
アーサーさんに群がる貴族が増えたのは言うまでもない。
次の更新予定
だいたいのことはお腹いっぱい食べれば解決しそうです 田中 @sssmm4
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