祝勝会

アーサーさんたちが王都に到着した翌日。

盛大な祝勝会が開かれることになりました。


僕も招待されています。

回復薬を大量に融通したことで貢献したってことらしい。

こういうパーティーは妻と一緒に行くのが普通らしいけど、僕は単身で参加することになった。


こういう場に慣れているのはカミラさんだけど、カミラさんを連れていくと、カミラさんを妻に迎えたと正式に宣言することになるらしい。そうするとベルフォーム家など、色々なしがらみが出てくるらしい。


逆にルーシュさんとかを連れていった場合もカミラさんを正妻にしなかったという宣言と受け取られるらしい。


どっちにしても面倒なのだ。


ちなみに、セージさんはバレティアに残った為に不参加となった。

今回は無事の帰還を祝うもので、急な開催となったため、また別途、更に大きなパーティーを開くことになるらしい。


面倒だけど、国王陛下主催のパーティーを欠席は出来ないということみたい。





王宮には次々と馬車が入っていく。

僕もわざわざ馬車を用意した。

徒歩で参加はダメらしい。


馬車を降りるとあっちもこっちも貴族だらけ。アーサーさんの到着予定日は国内各貴族に伝えられており、みんな集まっていたらしい。


当然だけど、僕がフランクにしゃべれる相手などはほとんどいない。

僕は端っこでボーッと突っ立ているだけ。


早く食事出ないかな~。

そんなことを考えていると、


「アキラ殿。」


声をかけてきたのはネルソン子爵。

国王陛下の命令でアーサーさんに帯同していた貴族だ。

僕もドバンで顔を合わせた。


「お久しぶりです。」


ネルソン

「お久しぶりです。

お会いするのはドバン帝国以来ですね。

アキラ殿と別れた後、大変だったんですよ。」


「パエルモ伯爵から話は聞いてます。

ネルソン様は大丈夫でしたか?」


ネルソン

「私はアーサー殿下の近くにおりましたので、なんの危険もございませんでした。

アーサー殿下の前では相手になりませんでしたよ。

圧倒的。

その一言に尽きますね。」


ネルソン子爵はアーサーさんの信者みたいになっていた。


「まぁ、賊軍がリズムリア王国の精鋭に勝てるはずはないということですね。」


ネルソン

「その通り。

魔王軍すら倒すアーサー殿下は、まさに生きる伝説。

いずれは伝承として、世界中で語り継がれるでしょう。」


ネルソン子爵って、一途と言うか、単純と言うか、盲目的に誉めちぎる。


・・・正直、相手をするのも疲れてきた。

逃げ出したいけど、口実がない。


すると、

ざわざわざわざわざわざわざわざわざわざわ


貴族

「陛下がいらっしゃったぞ。」


エドワルド

「今日は集まってくれて有難う。

我々、リズムリア王国は連合軍の総司令となり、魔王討伐の立役者となった。

これは歴史に名を残す偉業である。

それを祝いたい。


だが、まずは戦いの中でその命を散らした英雄たちに祈りを捧げたい。」


黙祷。

静寂が包む。


エドワルド

「さて、

今日は祝いの席だ。

遠征に参加した者は英気を養ってほしい。

あまり長話はやめておこう。

皆も魔王討伐の立役者、アーサーの武勇伝を聞きたくてウズウズしていることだろうからな。

ゆっくり楽しんでくれ。」




パーティーが始まった。

ようやく落ち着いて料理が食べられる。

まぁ、立食スタイルだから、そこまで手のこんだ料理はないかもしれないけどね。

それでも宮廷料理人の料理を味わわないと損だよね。


料理のメインはワンハンドで食べやすいような、ピンチョスやブルスケッタ。

大皿料理を小皿に取るタイプは少ない。

それでも豪華だね。

料理の面ではドバン帝国よりもリズムリア王国が勝っていると思う。

農業が盛んで、東には港もあり新鮮な魚介類、更にアカツキ王国からの輸入品もある。


セントラル大陸有数の豊かな国だね。

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