本音
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今回はアーサー視点です。
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アーサー
「うまいワインですね。」
エドワルド
「当然だ。
私のお気に入りだからな。」
エドワルド
「こうして、2人だけで話すのは何年ぶりだ?」
アーサー
「子どもの頃以来ですから、20年近く経っているんじゃないですか。」
エドワルド
「そうか。。。
それが我々の距離だったんだろうな。」
アーサー
「気楽な私と次期王として責任重大だった陛下では立場がまったく違いましたからね。」
エドワルド
「だが、、、
私は責任を果たせなかった。
アーサー、
お前に王位を譲るように要求するつもりだったのだろ?」
アーサー
「いえ。
私はそんなことを求めるために2人きりになった訳ではございません。」
エドワルド
「なら、私の命か?」
アーサー
「それも違います。
こちらを見て頂けますか。」
アーサーはバーバラの血判状を差し出す。
それを見たエドワルドの顔から血の気が引いていく。
エドワルド
「・・・愚かな。
バーバラが首謀者なのか、、、
こんな無謀な計画に何故、こんなにも多数が参加してしまうのだ。
状況はどうなっている。」
アーサー
「参加者のうち、約半数程度はバレティアで身柄を押さえています。
残りは王都に。
おそらく、計画に参加していたことがバレていないと考えているのでしょう。」
エドワルド
「どうしたいんだ?」
アーサー
「ここに参加した者の処断を希望致します。
これを秘密裏に申し上げたく、時間を頂きました。」
エドワルド
「事実を知っているのは?」
アーサー
「私、パエルモ卿、セージ団長。
および、その側近です。」
エドワルド
「私のことはどうしたいんだ?」
アーサー
「私は陛下が国王を続けてくださるのであれば、それを応援致します。」
エドワルド
「・・・私は、、、
どこで道を誤ったのだろうな。」
エドワルドがワインをグイッと飲む。
エドワルド
「産まれた時から次期国王になることを期待され、そして、その期待に応える為に努力してきたつもりだ。
だが、ブルータスに王宮を奪われ、私は何も出来なかった。私が何1つ対策を打てなかった間にお前は王宮を奪取し、ブルータスの身柄を押さえた。
そして、アーサー、お前のおかげで王位に就けた。
そこからも私なりに頑張ってきたつもりだった。私には支持基盤がない。ないならば作るしかないと思い、私を支持してくれる者を登用した。
そして、皆に納得されるような成果を出そうと足掻いた。
だが、すべて失敗だ。
挙げ句の果てに、部下の暴走を見抜けず、すべてを失うことになった。
とんだ無能だよ。」
アーサー
「私は兄上を無能だとは思っておりません。
運に恵まれなかっただけかと。」
エドワルド
「ここにきてそう言えるお前と私では、器が違うんだろうな。
この国をお前に任せたい。
引き受けてくれるか?」
アーサー
「承知しました。」
エドワルド
「私にとっての最大の不運は、お前のような才能を持った男と同時に産まれたことかもしれないな。」
アーサー
「私は周囲に恵まれただけです。
私個人の力ではございません。」
エドワルド
「そう言いきれるのはお前の自信の現れだ。
それでな、
王として、兄として、
最後に1つだけお願いがある。
聞いてくれるか?」
アーサー
「もちろんです。」
エドワルド
「私を辺境の小領の領主にでもして、バーバラと子を連れていくことを許してもらいたい。
バーバラのやったことを考えれば死罪は免れないのは理解している。
愚かな女だと思う。
だが、私にとっては大切な妻であり、子どもたちの母なのだ。
頼む。
殺さないでくれ。」
深々と頭を下げるエドワルド。
アーサー
「わかりました。
ただ監視はつけます。
私にも妻や子を守りたいという気持ちは同じです。今回のようなことがまた起きて、妻子を危険にさらす訳には参りません。」
エドワルド
「寛大な処置に感謝致します。」
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