第5話 他人と中身が入れ替わったら
昔うちの近所に、ネコを20匹くらい飼ってるおばあさんがいたんですよ。
私は当時小学生だったので特になんとも思わなかったんですが、やっぱり周りに住んでる大人からすると迷惑じゃないですか。
家を自由に出入りするネコが一日中ニャーニャーうるさいし、臭いとか糞とかバイ菌の問題もありますから、とにかくまあ煙たがられていたわけです。
そんなおばあさんが、あるとき急に姿を見せなくなったんですね。
ネコ軍団のほうは相変わらず近所をうろついているのですが、おばあさんの気配が家からしない。玄関ポストは郵便物でいっぱい、夜になっても部屋の明かりがつかないのです。
一人暮らしの高齢者ですから周りの人たちも心配になり、2週間くらい経ったころでしょうか、お巡りさんを呼んで訪問してもらいました。
おばあさんは居間で亡くなっていました。
検証の結果、事件性はないということでしたが、何故かおばあさんの遺体はほぼ骨だけだったそうです。
どうしてたったの2週間でガイコツになってしまったのか、そしてその間だれがネコにエサをあげていたのか。
まったく奇妙なことがありますね、どうもオジョです。
奇妙な話といえば、よく少年少女が出会いがしらに衝突して、中身が入れ替わってしまう物語がありますよね。
入れ替わった身体をまさぐって「ある!」だの「ない!」だの叫び合うくだりが定番ですが、もしあの現象が実際に起こったとしたら、皆様はどうなると考えますか?
私が思うに、あの場合に使われる「中身」の意味って、おそらく魂のことですよね。
つまり魂だけが他人の身体に移動する。
ということは、脳みそは相手のものを使うことになります。
ものごとを覚えているのは脳であって、魂ではありません。
よって入れ替わった瞬間から、魂は引っ越し先の脳みそを使い始めるのが本当なのではないでしょうか。
だからアニメのように、「魂が別の身体に移ったのに記憶はそのまま」ということにはならない筈なのです。
それでは結論。
ぶつかった者同士で魂が入れ替わるとどうなるのか。
もとの脳とのリンクが切れ、相手の脳の記憶を上書きされた魂は、「入れ替わったことに気付かない」!
入れ替わったまま、その後の一生を過ごすのです。めでたしめでたし。
いかがでしょうか。
私ときたら、数多ある入れ替わりもの作品に一石を投じてしまったのではないですか?
もしかしたらそこのあなたも、既に誰かと入れ替わっているのかもしれませんよ。
タララララン、タララララン。
ほいではまた。
チャウチャウ座からこんばんは オジョ @ojo66
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